生存者偏向


第二次世界大戦中、戦闘機の耐久性について研究していたエイブラハム・ワルドという学者は、生還した戦闘機のある部分が他の部分に比べて極端に被弾していることに気づいたという。

その報告をうけて、軍関係者は戦闘機のその被弾の多い部分を補強するように提言するが、エイブラハム・ワルドは次のように言う。

「補強すべきは、ほとんど被弾を受けていない部分である。なぜなら、自分たちが調べたのは生還した戦闘機だ。被弾が多い部分に障害を受けても戦闘機は飛び続けるのだ。生還できなかった戦闘機は、生還した戦闘機がほとんど被弾しなかった部分を破損したからに違いない。」

こういう問題を「生存者偏向」という。 

企業に置き換えてみよう。 日本の企業の現状を見ると、いろいろな問題点が浮かび上がってくる。 労働環境のことやモチベーションのことや人事制度のことやメンタルケアのことや人材教育のことや、いろいろである。

それでも企業は生きている。 生還した戦闘機に例えれば、企業生命が途絶えるかどうかは、きっと生きている企業が被弾していない部分にあるのかもしれない。 それらは生きている企業にとっては普段気にもしていない問題なので、あまり分析されることもないのだろう。 しかし、本当に大切なのはそういう部分かもしれない。

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