創造的な営業


NHKに「あの人に会いたい」という番組がある。 NHKに残る膨大な映像資料から20世紀の歴史に残る著名な人々の叡知の言葉を今によみがえらせる。 この番組で放送されたソニー創業者 盛田昭夫を何度も見る。

盛田は言う。

「私はビジネスマンです。 発明とか技術だけではビジネスは成り立ちません。 売り方にも創造性が必要なんです。」

盛田昭夫は著書「MADE IN JAPAN」の中でも書いている。

「ユニークな製品を作れば大儲けができると考えていた。 テープレコーダーで人の声を録音して本人に聞かせると、みんな大喜びしたり驚いたりした。 誰もがこの機械を気に入ってくれた。 だが、誰ひとり買おうという人はいなかった。 ようやくわれわれは、独自の技術を開発してユニークな製品を作るだけ では、事業は成り立たないことを思い知った。大切なことは商品を売るということだった。」

1955年、盛田はトランジスタラジオを売るためにアメリカに乗り込む。 ソニーは世界初のトランジスタラジオの開発メーカーだと思われているが、 そうではないという。 ソニーより4ヶ月早くトランジスタラジオの販売を開始したアメリカ企業があったらしい。 そのころのアメリカではハイファイという 大きな真空管のスピーカが主流であった。 誰がそんな小さなおもちゃのようなラジオを買うかと言われた。 そこで、アメリカの会社はこれは売れないと思い 販売をやめてしまった。 しかし、盛田昭夫が考え出した売り方はこうだ。

「ニューヨークだけでも20以上のラジオ局がある。 家族の一人一人がこの小型ラジオを持って、他人に気兼ねなく自分の部屋で自分の好きなものを聴 くことができるようにするんです。 ラジオは個人が持つものです。」  このとき、盛田昭夫はラジオの概念を変えた。 家に一つあり家族で楽しむものから 個人が持つものに変えた。

ビデオテープレコーダー(VTR)を販売したときは、

「今や皆さんはテレビの番組を自分の自由にできるのです。  VTRがあれば、テレビは雑誌と同じものになるんです。 いつでも、自分の好きなときにテレビが見られるのですから。」  と説いた。

破壊的イノベーション理論で有名なクレイトン・クリステンセンは、ソニーは知る限り唯一の連続破壊者であったと述べている。 1950年から1982年までの間に途切れることなく、連続 12回にわたって破壊的なイノベーションを起こし、新市場を創造した。 盛田昭夫は、消費者が片付けようとしている用事を見抜き、その用事をうまくこなすのに役立つ解決策とを結びつける名人だったと述べている。

売り方にも創造性が必要だ、と肝に銘じよう

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「創造的な営業」への2件のフィードバック

  1. はじめまして。
    以前から御社の技術力の高さを驚嘆すると同時にうらやましく思っておりました。
    私は、御社のソリューションのひとつであるデジタルブックを韓国企業から使用権
    を買い取ってさまざまなビジネスモデルを展開している会社の者です。

    コメントをしようと思ったのは、盛田氏の「売り方にも創造性・・・」という言葉が心に
    響いたからです。
    うちの会社は技術力はありませんがビジネスモデルでお客様から引き合いを
    いただいており、その点においては他社となんら劣るところがないのではないか
    と自負しておりましたが、このブログで半分自信を持つことができました。

    いかんせん、もう半分の技術・開発力が乏しいため、なかなか苦しんでおりますが・・・

    ロゴスウェア様のような開発力があれば・・・と特に考える今日一日でした。

  2. コメントをありがとうございます。 
    今や営業やマーケティングほど創造性を必要とする仕事はありません。
    特に営業の人たちに、「営業は最も知的な仕事で、最も創造的な仕事だ」と繰り返し訴えたい。

    ところで、ロゴスウェアのデジタルブック FLIPPER も使っていただけるよう検討いただけませんか。 現在様々なバリエーションを開発中です。 これらは、より創造的なビジネスモデルを展開できるものに仕上がる予定です。

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