KEKの素粒子の研究


昔の人間は、夜、星を眺めながら多くの時間を過ごしたのだろう。そんな中から、星座の物語を創造し、偉大なる宇宙にたくさんの神々を見たのだろう。

宇宙の構造や仕組みについてのそれなりの知識を得ている現在の私たちにとっても、宇宙は神々しい。あのあまりにも広大な宇宙全体が一定の法則によって動き、秩序が保たれているのだと考えるとき、その法則の神がかりな力に心をときめかせる。

「私たちはどこからきたのか」という哲学的な問いに人間は何千年も前から答えようとし、それは今も変わらない。素粒子の研究は現在における哲学的探求だ。

1928年、ディラックは、量子力学と相対性理論の整合を試み、ディラック方程式を考案し、電子と反対の性質をもった粒子の存在を予言した。1932年、アンダーソンは、宇宙線の中に陽電子を発見し、ディラックの予言が正しかったことを証明した。共に後にノーベル物理学賞を受賞している。

陽電子と電子は、プラスとマイナスの関係である。一緒になると互いの存在は消え去る。ここに「粒子」に対する「反粒子」の存在が確認された。

宇宙は最初、想像を絶するような高温で高密度な小さな世界だった(らしい)。そのようなところでは、衝突が頻繁に起こり、「粒子」と「反粒子」が作られては消え、消えては作られる、ということだった(らしい)。

そこで、ビッグバンというものが起こり、宇宙が大膨張した(らしい、以下らしい省略)。 宇宙が大膨張すると、宇宙の温度が下がる。

そうなると、衝突による粒子・反粒子の生成はなくなり、あるのは、粒子と反粒子が一緒になり、消え去るのみとなる。

そうなると、この宇宙には物質は何もなくなるはずであるが、現に物質は存在している。 それはなぜか? この疑問に答えようとしているのが高エネルギー加速器研究機構(KEK)で行われている研究の一つだ。

どうも「粒子」と「反粒子」には、微妙に違うところがあるらしく、10億に1つの割合で、粒子は消えずに残るのだという。それを証明しようと、B中間子と呼ばれる素粒子を大量に作り出し、その衝突実験を行っているのが、KEK内にあるBファクトリーと呼ばれる1週3Kmにおよぶ巨大な加速器だ(将来、KEKの研究からノーベル賞受賞者が誕生したら素晴らしい)。

KEKは筑波研究学園都市にあり、縁があって、今回、素粒子実験の学習をするeラーニング教材の制作を担当させていただいた。 KEK内にある総合研究大学院大学の学生向けに作られたものなので、中身は専門的だが、ナレーションを使いスライドを説明していくタイプにしたことにより学習効果が高まる工夫がされている。

今回は専門家向けの内容だったが、機会があったら、一般の人向けにサイエンスを伝えることにWebの効果(アニメーション、ビデオ、インタラクティブ性、など)が使えたら素晴らしい。

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