‘イノベーションとベンチャー精神’ カテゴリーのアーカイブ

「山のてっぺんからダライ・ラマがうたっているように」

2008 年 12 月 3 日 水曜日

ジェフ・エメリックという人がいる。 レコーディングスタジオのエンジニアである。 ビートルズの数々のアルバムでの仕事で有名である。 

ジェフ・エメリック自身が書いた「ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実」 という本の中で、ビートルズの実験的で斬新なサウンドはどのように創られていったかが書かれている。

面白い発見をした。

ビートルズのサウンドの斬新なアイデアは、ポール・マッカートニーの天才的な音楽的才能によるだけでなく、ジョン・レノンの無茶な要求によるところも多いようだ。

例えば、「Tomorrow never knows」という曲では、「俺の声を山のてっぺんからダライ・ラマがうたっているような感じにしろ」と注文をつける。

それって何? という感じだが、ジョン・レノンという人は 「どうやるのか知らないけどどうにかしろ。 お前らはそのためにいるんだろ」 というタイプである。

ジェフ・エメリックは、このときは、ジョン・レノンのボーカルの声をハモンドオルガン用のレズリー・スピーカー(ドップラー効果によるうねりを作り出すための回転するスピーカー)に突っ込んで、まさに「山のてっぺんからダライ・ラマがうたっている」サウンドを創り上げた。

ジョン・レノの要求というものはこんな感じだ。
「ベッドの中でまだ夢の中にいて、上流に漂っていく感覚」
「小さな音が次第に大きくなり、ついには何もかも飲み込んでしまう感じ」
「自分の声を月から聴こえてくるようにしたい」

要求は抽象的で、具体的にはどういうことなのかよくわからない。

そこから創造という活動が始まるから面白い。

録音したテープを逆回転再生させたり、安物のマイクをアンプに過入力させて声をわざと歪ませたり、録音したテープを切り刻んで適当につなぎ合わせてみたり、と常識はずれのことをいろいろやっている。

「要求が抽象的でよくわからない、もっと具体的に説明してくれ」という意見はもっともなのだが、創造性というものはそういう所じゃないところから生まれたりするから面白い。

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「二人の目標が変わってしまった。」

2008 年 11 月 14 日 金曜日

バドミントン女子の小椋久美子選手、潮田玲子選手は、9年間続けたペアを解消すると発表した。

「二人の目標が変わってしまった」という。 

「4年後のロンドン・オリンピックを再び目指す」と宣言する小椋選手と「先のことはわからない。一年づつやっていって、その先にロンドンが見えたら目標となる」という潮田選手。

目標を達成しようと強く願うならば、小椋式でいくしかない。 目標をはっきり掲げてそこから逆算して今やるべきことを決めるしかない。 その厳しい道を再び歩もうという人間とそうでない人間が共に歩むことは難しい。

ベンチャーの道もそういうものである。

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「いとしのレイラ」

2008 年 5 月 26 日 月曜日

久々に車のCDチェンジャーの中身を入れ替えた。

今、CDチェンジャーの中には、デレク&ザ・ドミノス 「いとしのレイラが備え付けられた。

この1970年発売のロック史を飾る名盤はなぜ今もすごいのかと言えば、そこでデュエイン・オールマンとエリック・クラプトンの最高のギターが聴けるからだ。

デュエイン・オールマンが、マイアミで行われたこのアルバムのレコーディング・セッションに参加したのは偶然である。 このアルバムのプロデューサーであり録音エンジニアであったトム・ダウドからたまたまエリック・クラプトンがレコーディングのためにマイアミに来るということを聞き、たまたまその時期マイアミにコンサートのために滞在して、ひょんなことから「いとしのレイラ」のレコーディング・セッションに参加するのだ。(このあたりのいきさつは、DVD「トム・ダウド いとしのレイラをミックスした男」に詳しい)

もしデュエイン・オールマンがこのセッションに参加していなかったら、「いとしのレイラ」はこれほど最高のアルバムにはならなかったに違いない。全編にわたって聴かれるデュエイン・オールマンの渾身のスライド・ギターがこのアルバムに魂を吹き込んでいる。アルバムタイトル曲「いとしのレイラ」の有名なギター・リフ、いまやエリック・クラプトンのトレードマークとなっているあのギター・リフを編み出しプレイしたのはそもそもデュエイン・オールマンだった。

いつも偶然のめぐり合わせは革新的な進化をもたらすのだ。

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ポリスのように

2008 年 2 月 28 日 木曜日

つい先ごろまで、ポリスの日本公演が行われていた。 21年ぶりに再結成され、27年ぶりの日本公演となる。

革新的な音楽を追求しながらも商業的に成功した数少ないバンドだ。

sus4コードの連続を多様したコード進行は独特の浮遊感を醸しだす。 sus4というコードは実に不安定な和音なので、メジャー・コードへ行く途中の経過和音として使う、と音楽学校的には教わるのだが、ポリスは不安定なsus4コードをあえて連続させてしまっている。常識破りのカッコよさだ。

アンディ・サマーズのギターはディレイというエフェクターを巧みに使って、原音とディレイ音が絡み合って実にカッコいい。指が早く動くばかりが脳じゃないと気づかせてくれた。譜面を見てみよ、初心者にも弾けそうな簡単な音符。でも、誰にもアンディ・サマーズのようには弾けない。

「革新的だが売れない」、「売れるが斬新さなんて何もない」・・・・こういうものはたくさんあるが、同時に達成することは難しいものだ。

革新性の追求と商業的な成功。 こうでなくてはいけない。 

ポリスのように 

(ポリスが観たくなった? Yahoo! 動画でどうぞ

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タイムマシンモデル

2008 年 2 月 22 日 金曜日

昨日の日経産業新聞は、日本のネット業界について、「米国発のサービスを移植や翻訳して日本に持ち込むタイムマシンモデル」と書いていた。

ブログ、SNS、ソーシャルブックマーク、写真共有、動画共有、・・・・・・・。 アメリカで話題になり始めると、それを真似したサービスを日本で展開するというモデルで、なんとたくさんのネット系ベンチャー企業が生まれたことか。

もうそういうのは止めよう。 そこには創造性がないではないか。 創造的でなければ楽しくないではないか。

新しいコンセプトを創ろう。 社会を変えるようなコンセプトを創ろう。 スティーブ・ジョブズ流に言えば、「宇宙に衝撃を与えるような」コンセプトを創ろう。

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インドの自動車 タタ「ナノ」

2008 年 1 月 23 日 水曜日

インドの自動車メーカー、タタ・モーターズがナノという日本円にして30万円を切る値段の自動車を発表した。 「2001年宇宙の旅」で有名な「ツァラトストラはかく語りき」の音楽に乗って登場するこの自動車は衝撃的だ。

細かいことを言えば、品質のこととか、性能のこととか、いろいろあるのかもしれない。しかし、昔、日本の自動車がそうであったようにいずれ解決することのように思える。日本の自動車メーカーの一号車よりも既にイカシテイルじゃないか。

問題は、日本の自動車メーカーがどう逆立ちしてもこの値段の車を日本では製造することができないことだ。

インドは、欧米企業のサービスやソフトウェア開発のアウトソース先としてだけでなく、製造業だってできるとなると日本にとっていっきに脅威になる。

おまけに、インドはかなり優秀な経営者を輩出することだってできるのだ。 最近、アドビのCEOに就任したシャンタヌ・ナラヤンもインド人だ。アメリカの企業の幹部にまで上り詰めるインド人は結構いるのだ。

こう考えると日本は絶対に安心なんかしていれない。今の状態を維持しようなんて考えたら根底から破壊される危険がある。

外のものに破壊されるくらいなら自ら破壊して新たな社会を創った方がずっといい。

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スタンフォード大学学長ジョン・ヘネシーとベンチャー精神

2008 年 1 月 17 日 木曜日

うかつにも最近まで気づかなかったのだが、いま米スタンフォード大学の学長は、ジョン・ヘネシーだ。

RISC型CPUの研究者、MISP社の創業者として有名なジョン・ヘネシーだ。

スタンフォード大学の教授であったジョン・ヘネシーは、RISCと呼ばれる新しい設計思想のコンピュータ・アーキテクチャーを研究していた。そこで、ジョン・ヘネシーは、自分の研究成果を商業化するために、MIPS Computer Systems という会社を興す(Microprocessor without Interlocked Pipeline Stages(パイプラインステージがインターロックされないマイクロプロセッサ) の頭文字をとってMIPSという社名にしたという)。

RISCとは簡単に言ってしまうと、いろいろな命令の実行スピードをみんな同じ1クロックにして、実行パイプラインに待ち行列ができないようにした方が、コンピュータは高速処理できる、という考え方である。同じスピードで実行できないような命令はそもそも不要でそのような複雑な命令を持つ必要はない、命令は単純化せよ、と言っている。 そこから、このようなプロセッサは、RISC(Reduced Instruction Set Computer、縮小命令セットコンピュータ)と呼ばれた。

これに対して、当時インテルをはじめ他のマイクロプロセッサは、より複雑な命令を処理できるようにすることが進歩だと思っていた。 当時のインテルや他のプロセッサは、RISCに対比して、CISC (Complex Instruction Set Computer、 複雑命令セットコンピュータ)と呼ばれた。

最初の頃は、RISCがいいのか、CISCがいいのか、という議論があったが、方向を決定づけたのは、ジョン・ヘネシーがデイビット・パターソンと一緒に書いた 「Computer Architecture : A Quantitative Approach」(日本版、コンピュータ・アーキテクチャー 設計・実現・評価の定量的アプローチ)という著書だった。これにより、RISCのアーキテクチャーとしての優位性は明確になった。

その後、インテルをはじめCISCと呼ばれたプロセッサも、CISC的命令を内部でRISC的な命令に翻訳する機能を組み込み、この論争には終止符が打たれた。

このような起業家精神に溢れた人間が学長になるところが、スタンフォード大学の凄いところなのか。

ご存知のように、スタンフォード大学は、シリコンバレーに位置し、HP、SUN、ヤフー、グーグル、・・・・など数多くのベンチャー起業家を輩出し、いまもシリコンバレーに人材を供給し続けている。

ロゴスウェアのオフィスがあるつくば市をはじめ、日本のあらゆるところで、大学や研究機関などを核にした「シリコンバレー化計画」のようなものが企画されるが、どうもうまくいかないようだ。

ジョン・ヘネシーは次のように言っている。

たとえ大学に有望な技術の種があったとしても、グーグルのように短期間で急速にグローバル企業へ成長を遂げるようなハイテクベンチャーが日本に出てくるかどうか、私は疑問に思います。 なぜなら、多くの人に勤め先を辞めるよう説得して、成功するかどうかが分からないベンチャーに入社してもらうことが必要だからです。

開拓精神にあふれた人が次々と入社してくるので、ベンチャーは急激なスピードで成長できるのです。シリコンバレーに見られるベンチャー起業のバイタリティーを許容しない点は、日本の弱点と言えるでしょう。

いまグーグルからの人材流失が少し話題になっている。 グーグルといえどもシリコンバレー的にはもはやエキサイティングではないのだろうか。これがシリコンバレー精神というものなのか。いずれにしてもタフではある。

ベンチャー育成にまず必要なものは仕組みではないのだ。そういう人間が必要なのだ。

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シリコンバレーに行くために英語力を向上させよう

2007 年 10 月 25 日 木曜日

半年前のキャンプ(ロゴスウェアで四半期ごとに行っている全社員参加のイベント)で、ロゴスウェアは将来シリコンバレーに進出したい、と話した。

社員は冗談だと思ったかもしれないが、別に冗談ではない。

今すぐに動けないだけだ。

当面の目標は日本国内でリーダー企業になることなので、それに集中する必要があるだけだ(これだけでも大きなチャレンジだが)。

心配ごとがあるとしたら、もし自分たちが日本国内でリーダー企業としての位置を確保したときに、自分がそれで満足してしまわないかということだ。

そのときにまだ自分は欲求不満であったらいい。世界にはすごいスーパーなやつらがいて、人を感動させるほどのテクノロジーや製品を作っている。そこで戦いたい、と思えていたらいい。

前の会社を辞めてから、英語の世界から離れてしまった。 英語でのコミュニケーション力がだいぶ落ちてしまっている。 もう一度、これをやらなければいけない。 いつシリコンバレーに行けるかわからないが、準備はしておこう。

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自分を中心に置かないで考えてみる

2007 年 9 月 22 日 土曜日

世の中にはとんでもないことを思いつく人がいる。

リチャード・ドーキンスという動物行動学者は、1976年に出版された「利己的な遺伝子」という本の中でとんでもない説を発表した。

「生物の主体は遺伝子である。体は遺伝子が自らを乗せるための乗り物にすぎない。 固体の死が生命の終わりを意味するのではない。 遺伝子は体を乗りつぎながら悠久の時間を旅するのだ。」

「遺伝子の願いは、ひたすら自分のコピーを増やすということである。 そういう意味で遺伝子は利己的である。 生物は遺伝子が自らのコピーを増やすために作った生存機械にすぎない。」

普通の人が考えれば「自分が生きていくため、行動するために遺伝子がある」となるが、 ドーキンスにかかると「遺伝子のために生物があり、生物の行動がある」となる。

こういうところにイノベーションのヒントは隠されている。自分を中心に置かないで考えてみると良いのかもしれない。

難しいことではある。 コペルニクスが登場する16世紀まで、人間は地球が宇宙の中心であると考えてきたのだから。

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組み合わせる

2007 年 8 月 1 日 水曜日

一説によれば、ハンバーガーがはじめて登場したのは、1904年にアメリカ セントルイスで開かれた世界博覧会。ハンバーグステーキをパンにはさんで「ハンバーガー」という名前で売り出したところ評判になりアメリカ中に広がっていったのだという。

ハンバーグステーキというものがいつからあったのかはっきりしないが、調べたところ、少なくとも15世紀にはそのようなものが食べられていたらしい。パンはそれよりもかなり昔からある。

ということは、これらを組み合わせて、「ハンバーガー」として広まるまでには500年の年月がかかったわけだ。

大体において、発明やイノベーションは、このような組み合わせでできている場合が多い。 見つかってしまえば単純な組み合わせのように思えるものなのに、なぜかその組み合わせを見つけるのには時間がかかるようだ。

何と何を組み合わせると面白いものができるのか、その発想力が求められる。

ここで、私たちは、どうしても先入観や常識の枠の中から抜け出すことが難しい。

http://andrewwooldridge.com/myapps/webtwopointoh.html

このWebサイトでは、ランダムにテクノロジーを組み合わせて、Web2.0 アイデアを表示してくれる。ジョークのサイトではあるが、イノベーションのアイデアの出し方として正解だ。

ありえそうもないものを適当に組み合わせてみて、何ができるか真剣に考えよう。

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