戦略

「幸運な企業が生き残る」

2008年 3月 19日

進化論というと、ダーウィンの進化論だけが有名であるが、中立進化説というのもあるそうだ。

中立進化説というのは、木村資生(きむら もとお)という日本人によって提唱された説だ。

ダーウィンの進化論が「環境に適合したものが生き残る」という適者生存の考え方をとるのに対して、中立進化説では「幸運なものが生き残る」という考え方をとる。

ハーバート・スペンサーという人が、ダーウィンの進化論を社会に適用して社会進化論なるものを提唱して以来、社会、文化、企業、・・・などに、適者生存の考え方を使うことが一般的になった。

一方、「幸運な企業が生き残る」というような社会中立進化説的な考え方はあまり聞いたことがない。 しかし、この側面は明らかにあるような気がする。

環境に適合しようと「計画的に」行うことと、幸運な機会に恵まれるように「偶然がたくさん起こる場」を作ることの両方が大切なのだと思う。

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競争相手を理解する

2007年 11月 16日

「彼を知り己を知らば、百戦殆うからず。彼を知らずして己を知るは一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば戦う毎に殆うし。」

は、孫子の兵法からの有名な言葉だ。

どんなビジネスをしようが、競争相手がいないということはない。 その競争相手を知らずして戦いに勝つことはできないという教えは、まったくもってその通りである。

しかし、「競争相手の何を知るべきか」 になると怪しくなる。

「競争相手の商品とのベンチマークを行い自社商品の足りないところを補う」という行為は無駄ではないかもしれないが、賢いやり方とは思えない。

最も重要なことは、「競争相手は自分たちに何をさせてくれるか」を知ることである。 競争相手は顧客の中でどのようなポジションを占めていて、どのようなポジションを占めていないかを知ることである。

それさえ分かればこっちのものだ。 自分たちの能力と照らし合わせて、自分たちのやるべきことが見えてくる。

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中間路線は安全か?

2007年 7月 31日

参議院選挙が終わった。結果は自民党大敗、民主党大勝だ。

一つだけ残念なことがある。国民は改革に対して「YES」と言ったのか、「NO」と言ったのかがわからないのだ。

ある人たちは政府の改革に対する意欲は後退している、だから「NO」だと言う。

ある人たちは政府の改革のせいで格差が広がってしまった、だから「NO」だと言う。

つまり、改革を支援する人たちからも、支援しない人たちからも「NO」と言われての大敗となる。

人は決断に迷うとき中間路線をとりがちだ。どちらか一方に偏るよりも安全であると考えてしまう。中間地点に妥協点を見つけて、どちらの人たちからも「YES」といってもらうことを期待する。安倍首相がとっている路線はまさにこの中間路線だ。

今回の選挙から学ぶことは、中間路線は時に非常に危険な戦略になるということだ。誰にとっても中途半端で、誰からも「NO」といわれる危険がある。

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戦略理論というもの

2007年 6月 21日

ソニー プレイステーションの生みの親、久夛良木健氏が6月19日をもってSCEの取締役から退任した。事実上、PS3の販売不振の責任をとっての辞任となる。

ソニーは、ここ数年、大きな二つの失敗を犯している。ウォークマンがアップル iPODに敗れたこと、PS3が 任天堂Wii に敗れたことだ。

この二つの事例は、おそらくこれから何年、何十年にわたり、経営戦略理論やイノベーション戦略理論の世界で繰り返し引き合いにだされるのであろう。

クレイトン・クリステンセンが提唱する破壊的イノベーション理論に照らし合わせれば、ソニーは、MD、メモリースティック、音楽事業、などの既存ビジネスを守ろうとするがために、ウォークマンは破壊的なイノベーション iPOD の前に敗れ去った、となる。ソニーはiPODのような製品・サービスを開発する全ての要素(小型薄型のモノを作る技術、インターネットビジネスのノウハウ、音楽コンテンツ、・・・・)を持っていて、それらは間違いなくアップルよりも格段に優れていたのだから、そのショックは大きかったのかもしれない。

PS3は3次元グラフィックスの性能向上にこだわった。製品の性能競争により、性能は顧客の満足度をいずれ大きく超える。そのときに、新市場を創造する破壊的イノベーションに敗れ去る、という理論も多くの人が理屈としては知っているものだ。Wii がPS3を置き去りにしてゲームの世界に新市場を開拓していく様は、まさにこの理論の通りだ。

それならば、なぜこれらのことは事前に警告されないのか?

破壊的イノベーション理論が書かれたクレイトン・クリステンセンの書物は世界的なベストセラーで、経営に携わる者、マーケティングに携わる者、イノベーションに携わる者にとってはあまりにも有名な理論だ。当然、優秀なソニーのスタッフたちがそれについて無知であることなど絶対にない。

既に起こってしまったことを振り返って見れば、いろいろな理論に照らして説明するのは簡単だ。ただ、理論を事前に活用し、未来をコントロールするのは極めて困難なのだ。

たぶん、戦略理論とはその程度のものだ。戦略理論は大変面白く、自分もこれまでに多くの書物を読んだし、たぶんこれからも読む。戦略理論がまったく役に立たないということは絶対にないが、理論を振りかざして経営を語る人には非常に違和感がある。

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