2007年 9月

自分で知識を創りだせる人

2007年 9月 30日

9月29日 朝日新聞に掲載されている小林慶一郎氏の論説を要約すると次のようなものだ。

日本の格差問題も世界的な経済の構造変化によって引き起こされた不可避的な現象かもしれない。 現在の格差問題は一つの政権の政策路線の結果としてできた短期的な問題ではなく、これから30年、40年と続く息の長い経済問題かもしれない。

格差拡大の主因はコンピュータ普及などの技術変化だとする見方が主流である。コンピュータの普及により単純事務職などの仕事を奪い、情報化に適応した人と適応できない人との間で賃金格差を広げていると思われる。

教育システムを新しい技術体系に沿ったものに変えていくことが永続的な格差是正効果を持つのではないだろうか。

情報化に適応した人、情報化に適応できない人とはどういう人を言うのだろうか?

逆説的ではあるが、知識社会、情報化社会にどんどん突き進んでいくに従い、知識や情報の重要性はどんどん薄まっていくように思える。

アインシュタインは自宅の電話番号を覚えていなかったらしく、「電話帳を調べればすぐ分かるようなことを覚えていたくない」と言った、という逸話を読んだ記憶がある。

今やインターネットがあるので、だいたいの知識や情報は即座に得ることができる。しかも誰にでもできる。そのようなものの価値が下がっていくのは当然だ。そのようなものを時間をかけて暗記してもあまり役には立たないかもしれない。

価値があるのは他の人が知らない情報や知識だ。 二つの種類がある。 「裏情報」と「自分で創りだした知識」だ。

裏情報のとり方は教育に馴染まないかもしれないので、正攻法としての教育は、「自分で知識を創りだす力」ということになる。

学校でやっている情報化教育というと、「インターネットで何かを調べてみました」、「ホームページを作ってみました」の類が多いような気がするが、たぶんそのようなものはそれほど価値を持たないような気がする。

「情報化に適応できる人を育てる」という意味が「自分で知識を創りだせる人を育てる」ということならば素晴らしい。

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知識は人の心の中にある

2007年 9月 29日

「知識創造企業」(著者:野中郁次郎、竹内弘高)という書物によって暗黙知の重要性が広まってから既に10年が経過している。

しかし、いまだに世の中の多くは形式知を重視する傾向にある。 膨大なマニュアルを書き、多くの時間をかけてデータベースに入力し、体系化し共有するためのシステムを作ることに時間とお金を使っている。 それにもかかわらず、会社に知識がついたと実感できないでいる。

知識は人の心の中にあるのだ、ということを再認識するときがきている。人は感情を持つ動物だ、と再認識するときがきている。

人の経験の中にしまい込まれた知識は、人の感情と共に引き出される。 職場にオープンな議論を支援する文化、チームを信頼しチームのために働く文化がなければ、それを引き出すことができない。

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大規模構造

2007年 9月 28日

今や誰でも知っていることであるが、地球は太陽の周りをまわり太陽系という構造体の一部となっている。

太陽のような星は恒星と呼ばれる。 恒星とは水素やヘリウムの核融合によって自ら輝く星である。恒星が1,000億個も2,000億個も集まって更に大きな構造体を形成している。これが銀河である。地球は太陽の周りをまわっているが、太陽もまた回転していて、銀河の構成要素の一つだ。

銀河も1,000億から2,000億個は存在すると言われている。

1986年、ハーバード大学教授 マーガレット・ゲラーがそれより更に大きな宇宙構造を発表した。銀河は無秩序に宇宙に配置されているわけではなく、4億光年間隔で並んだ平面上の壁のように分布しているのだという。 この構造からグレートウォールと呼ばれた。 (この構造を3Dグラフィックスなどですごく分かりやすく見せてくれるサイトはないのかと探してみたが見つからず。知っていたら是非教えてください)

何事にも要素があり構造がある。ある小さな構造は更に大きな構造の一部となり、それはまた、そのまた大きな構造の一部となる。

狭い視野では見えてこないものがる。見える人と見えない人がいる。 見える人だけがその構造を理解し、勝者となる。

仕事の上で大きな構造が見える人になるにはどうしたらいいのか?  理解するとはどういうことなのか、その脳のメカニズムや習得技術に関する書籍がたくさん発行されている。 しかし、この本に書いてあることを理解することが、これまた難しいのだ。

構造を理解するための本を理解する人はそもそも構造を理解できている人で、構造を理解できない人は構造を理解するための本も理解しない、ということかもしれない。 パラドックスだ。

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ミーム

2007年 9月 27日

先日、リチャード・ドーキンスが書いた「利己的な遺伝子」のことに触れた。 実は、この本の中では更にとんでもないアイデアが提示されている。「ミーム」というものだ。

文化は個体の脳から脳へコピーされて伝わる。ときにはコピーミスを起こし、これが新しい文化を生むことがある。役に立つ文化はよくコピーされるが、役に立たない文化はあまりコピーされずいずれ廃れてしまう。 これはまるで、遺伝情報が遺伝子によって伝わるのと同じではないか。遺伝情報を伝える単位を遺伝子というのなら、文化を伝える単位を「ミーム」と呼ぼう。

人間は「遺伝子」と「ミーム」という2種類の自己複製子の乗り物である、という考えはたいへん斬新であるが、非常に説得力があり、確かにその通りかもしれない、と思わせる。

世の中のスピード競争とは、言ってみればミームを伝えるスピードの競争だ。

昔、ミームを伝えるスピードは人間の歩くスピードであった。やがて車の走るスピードになり、飛行機の飛ぶスピードになった。

今やこれは、光ファイバーの中を光が進むスピードになった。 技術的には、ほとんど一瞬のうちに、世界中のどこにでもミームを伝えられ、他人の脳から脳へ次々とコピーされる。

勝負は、ミームの乗り物としての人間がこのスピードについていけるかどうか、大量のミームをどう処理するのか、そしてミームの質となった。

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アイルトン・セナ

2007年 9月 26日

今年のF1日本グランプリは、今週の28日から富士スピードウェイで開幕する。 F1の世界も様変わりしたが、永遠のヒーローは 故アイルトン・セナだ。

やる気が不足しているときは、アイルトン・セナの走りをDVDで見るとよい。 可能性を求めて限界に挑み続けた男の雄姿が勇気を与えてくれる。

落合信彦とのインタビューでセナは語った。

極限までは誰だってやれる。ベストを尽くしましたって言えばいいんだから。しかしそれでは凡人で終わる。本当の努力が実を結ぶのは極限を突き 破ったときだ。F1レーサーにとって一番難しいのはモナコのサーキットだ。あそこは市街地だから。モナコのヘアピンカーブに時速200Kmで入っていく。 曲がるときに壁から2cmになる。でも今自分が努力しているのはあそこを1cmにすることだ。

これがアイルトン・セナだ。 モナコのヘアピンカーブを壁から2cmで走る抜けることができるのはセナだけだった。他のドライバーを圧倒していた。モナコでは5連勝を含む通算6勝(1987年、1989年、1990年、1991年、1992年、1993年)を挙げた。しかし、セナが追求したのは究極の姿だ。最終的には壁から0cmで走る抜けることを追い求めたに違いない。

セナは語っている。

「理想を語ることは簡単だが、自ら実践することはすごく難しい。
だからこそ、とにかくどんな時でもベストを尽くして生きていかなければならない。
その結果うまくいく時もあればそうでない時もある。
間違いを犯すこともあるだろう。
でも少なくとも自分自身に対しては誠実に、そして自らの描いた夢に向かって精いっぱい生きていくことだ。」

自分たちは究極の目標を見据えているだろうか。究極の目標とは、不良率0%、顧客満足度100%、コスト0円、稼働率100%、の世界だ。これが目標ならば、改善は永遠に続けられる。

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ジャスト・イン・タイム学習

2007年 9月 25日

昔、自動車工場における最善のやり方はフォードの大量生産方式だった。ベルトコンベアを使い、作れるときに大量に作り、プロセスごとに多量の在庫を持つことが最適な生産方式であると信じられてきた。

トヨタはまったく違うアプローチをとった。ジャスト・イン・タイムというコンセプトで語られるものだ。ジャスト・イン・タイムのコンセプトは「必要なものを、必要なときに、必要なだけ作る」というものだ。 これにより、トヨタは自動車業界の勝者になった。

教育の世界はどうか?

教育の世界は、フォードのベルトコンベア・システムと同様のアプローチをとっている。学校や教室に通って、知識を大量に頭の中に在庫するのだ。

ロゴスウェアは、ジャスト・イン・タイムの学習を推進したい。何か知りたいこと、知らなければいけいことに遭遇したときに、15分程度ですぐに特定のポイントについて学習できるようにしたいのだ。

eラーニングを単に教室のコストなどを削減するアプローチだととらえると大事なことを見落とす 。 ジャスト・イン・タイム学習は、従来の教育方法ではできなかったことだ。まったく新しい学習方法を提供するものだ。

ジャスト・イン・タイム学習は、「必要な知識を、必要なときに、必要なだけ学習する」ものだ。

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専門職の業績評価

2007年 9月 24日

あるプログラマの嘆き

「自分が3週間でプログラムを書くと3週間の報酬しか得られない。出来の悪いやつが3ヶ月かかって書くと3か月分の報酬を得る」

ソフトウェア企業の経営は、他の産業とはちょっと違ったやり方でやる必要がある。 他の産業には見られないいくつかの特筆すべき違いがあるからだ。

プログラマの個人能力の違いはあまりに大きい。ある調査によれば、最も生産性の高いプログラマと最も生産性の低いプログラマの間には、10倍~20倍の開きがあるという。 いくら時間をかけても同じものは作り出せない場合もある。プログラム開発はアートの世界に近いのだ。

最近はそういう個人の能力によって成果が大きく違ってしまう職種(いわゆる、知識労働者、専門職)も増えてきていると思うが、ソフトウェア企業においては、彼らが中心的な社員なのだ。決してこの特性を無視して組織は運営できない。

このような企業では、社員の評価(報酬額の算出)を最終的に達成した成果ではなく、かかった時間によって決めるのは合理的ではないし、公正ではない。

専門職の成果を正しく評価するのはとても難しい仕事である。専門職の仕事を完全に測定する方法などどこにもないからだ。それでも私たちは、その評価を下すことから逃れてはいけない。

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自分を中心に置かないで考えてみる

2007年 9月 22日

世の中にはとんでもないことを思いつく人がいる。

リチャード・ドーキンスという動物行動学者は、1976年に出版された「利己的な遺伝子」という本の中でとんでもない説を発表した。

「生物の主体は遺伝子である。体は遺伝子が自らを乗せるための乗り物にすぎない。 固体の死が生命の終わりを意味するのではない。 遺伝子は体を乗りつぎながら悠久の時間を旅するのだ。」

「遺伝子の願いは、ひたすら自分のコピーを増やすということである。 そういう意味で遺伝子は利己的である。 生物は遺伝子が自らのコピーを増やすために作った生存機械にすぎない。」

普通の人が考えれば「自分が生きていくため、行動するために遺伝子がある」となるが、 ドーキンスにかかると「遺伝子のために生物があり、生物の行動がある」となる。

こういうところにイノベーションのヒントは隠されている。自分を中心に置かないで考えてみると良いのかもしれない。

難しいことではある。 コペルニクスが登場する16世紀まで、人間は地球が宇宙の中心であると考えてきたのだから。

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採用の品質

2007年 9月 21日

ある著名な経営コンサルタントが言っていた。

「コンサルタントができることはコンサルタントに頼らなくても成功してしまう人をより早く成功させることである。 自分の力で成功できそうにない人を成功させることはできない。」

今日届いたワイキューブからのダイレクトメールに書いてあること

「社員は企業で育てるものだなんて間違った考え方をしていませんか?育たない人材はいくら時間をかけても育たないのでです。」

人を採用しようというときに、育つことがはっきりわかる人、育たないことがはっきりわかる人には対応しやすい。 悩ましいのは多くの場合は、はっきりとわからないからだ。

採用の品質をどうやって高められるかは製品の品質をどうやって高めるかと少なくても同じくらいは重要だ。

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目標を設定する

2007年 9月 20日

「格差を是正する」ということが大事な政治目標になっている。 自民党総裁選でもそういうことになっている。 どういうことを意味するのか分かるようでいて、はっきりとは分からない。 自分のイメージする「格差が是正された」は、別の誰かの「格差が是正された」イメージとはきっと違う。 しかし、誰もそれについて聞かないようだ。

ロゴスウェアでは、四半期ごとに全員が目標を書くことになっている(MBOと呼んでいる)。  もし、「格差を是正する」のような曖昧なものを書いてきたら、私は3分間は文句を言わなければならない。

それは「所得税の最高税率を60%に上げる」ということなのか、「公共事業予算を10兆円にする」ということなのか、「年収300万円以下の家庭の教育費、医療費は無料にする」ということなのか、何なのかを問わなければならない。

やったのか、やらなかったのか、はっきりしないような目標を書いてはいけない。

政治の世界では結果として実現できなかったら問題になるから曖昧さを残さざるを得ないのかもしれない。 が、ロゴスウェアの中でだったら全然問題ない。 最善の方法をとっても達成できないこともある。 運というものもある。 そんなことで個人が責任追及されることはない。

正しくはっきりした目標設定することが私たちには最も大切なことだ。

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