2007年 11月

人件費の変動費化

2007年 11月 29日

右肩上がりで成長を続けた日本経済は、90年代に入ると失速してしまう。 売上が上がったり、下がったり、変動するようになってしまった。

この変動に多くの日本企業が耐えられなかった。 固定費が目立ち、赤字企業が続出してしまった。

多くの企業は体質改善を実施し、「固定費の変動費化」を図った。

固定費となってしまう正社員の数を必要十分な規模まで下げ、その他の人件費はパート、アルバイト、派遣、請負、へと切り替えた。

この構造変化がいま格差社会と呼ばれる社会問題となっている。

格差問題は放置してよい問題ではないが、かといって、企業がもう一度固定費を上げることも難しい。

「人件費の変動費化」を一部の人間にだけ押し付けてしまわない仕組みが必要だ。

例えば、会社の役員報酬や役員賞与を変動費化したらどうだろうか。毎月の月次決算や四半期ごとの業績をもとに役員報酬額や役員賞与の額を調整したらどうだろうか。

理にかなっているように思えるのだが、いまの税法はその実施を拒んでいる。

役員の報酬額は毎月同じ額を支払わないと特別に税金が課される。 役員賞与などはそもそも損金不算入だ。つまり、役員賞与を支払うことには税金が課される。 (平成18年度の税制改正で役員賞与は事前に決めた定額であれば損金扱いできるようになったようだが、事前に決めた定額であるならばそもそも賞与ではない。) そんなわけで、役員賞与をもらっていない企業経営者も多いと思われる。

このあたりの税制はもっと柔軟にできないものなのか。

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内部留保金課税

2007年 11月 28日

税法の一つに、同族会社に対する内部留保金課税というものがある。

企業は1年間事業を行って得た利益を、期末に「株主に配当する」、「役員賞与を支払う」、「会社内に内部留保する」の方法で処理するわけだが、このうちの「会社内に内部留保する」ということに対して税金を課す制度だ。

面白いことに、内部留保金課税は、同族会社に対してのみ適用されている。税法も毎年変わって複雑なのだが、適用対象の同族会社とは、いまのところ「1株主グループによる持ち株割合が50%を超える会社」ということになっている。 多くの未上場中小企業がこの範疇に入る。

経営の本来の姿からすれば、事業から得た利益を会社に内部留保させ、会社の財務体質を強化させるのは正しい行動に思えるのだが、税法からするとそういう行動に対しては税金を課すということになっている。

なぜ課税をするのかと言えば、「資本と経営が分離されていない中小企業の経営者は、利益を自分に配当すると税金がかかるので、会社の中に留保させて税金逃れをする」と税務署は考えるからである。

しかし、多くの企業経営者にとってこれは大変違和感のある考え方に違いない。

会社の安全性と持続的成長を願い、配当や役員賞与にお金をまわさず内部留保を優先させる企業経営者は多いに違いない。

そのような世の中の声を反映して、平成19年度の税制改正では、とりあえず資本金 1億円以下の会社は適用除外になった。 ロゴスウェアのようなベンチャー企業にとっては望ましいことだ。 しかし、これを悪用する人たちもいるのだろうなあ、と思うとすっきりしない。

よくニュースなどでも会社の区分をするのに、大企業、中小企業 というように会社の規模を属性とした区分がなされる。 ときどき、その区分は何か雑すぎないかと感じることがある。 特に、中小企業にはいろいろな種類がありすぎる。 完全な個人経営もあれば、真のベンチャー企業もあり、家族だけで経営する会社もある。 何かもっとうまく区分する方法はないのだろうか?

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ソフトウェア資産

2007年 11月 26日

今年の5月くらいにアプリックスという携帯用ソフトウェア開発会社が76億円もの特別損失を計上したことがあった。 これにより、今期7億5,000万円の黒字予測が、一転して75億円の赤字予測になった。

簡単に言えば、自社開発したソフトウェアを76億円の価値があるとして資産計上していたが、どうもすぐに売れそうもないということで一気に費用化したもののようだ。

ソフトウェアの開発は、企画、設計、コーディング、・・・と進んでいくが、規則正しく工程が進むわけでもなく(前工程に戻ったり、あるいは最初の工程に戻ったりは頻繁に発生する)、目に見えるものでもないだけに、どこまでが研究開発費としての経費なのか、どこからがソフトウェアの資産なのかがはっきり定義しづらい。

一応、「製品マスターの完成」と「販売の意思」を持って線引きをすることになっているが、やはり曖昧だと言わざるを得ない。損益計算書上で利益が上がっているように見せたいのか、見せたくないのかという経営者の意思で、操作ができてしまう。

財務諸表に記載される利益は解釈次第と言われるが、普通に考えれば何とも釈然としない。会計学としてはどう解釈されるのか知らないが、少なくとも経営者と株主の視点で見れば、何かすっきりしない。

ソフトウェアの場合、開発したものが将来の売上につながるかどうかなんてさっぱりわからないのだから、これらのものは必要最低限のところだけ資産とし、その他の多くは研究開発費として経費計上すべきであると思う。 つまり、少額のソフトウェア資産と多額の研究開発費用となる。

いくつかのベンチャー系上場会社の財務諸表を見てみた。勿論違法ではない。しかし、気に入らない会計をしている会社はある。これは信念の問題だ。

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二重振子

2007年 11月 21日

二重振子の動きを見てみよう。

普通の振子は、右から左へ、左から右へ、と実に単純な運動をするが、振子を二つつなげただけでこんな予測困難な動きになるのだ。

同じ動きを2回させるのも難しい。スタート位置のちょっとのズレが動きに大きな変化を与えるのだ。

こういうのをカオスというのだそうだ。

「ほんのわずかな初期条件の違いが予想もつかないほど大きく違った結果を生む現象、個々の現象は決定論的に予測できても、総体としては非連続でバラバラな挙動を示し予測不可能なこと」とWikipediaにある。

経営もカオスではないのかとふと思う。

いくつかの成功実例だけをあげて、「経営成功の法則」、「経営成功の秘訣」、「経営成功のポイント」などをタイトルにした安っぽい経営書が売られているが、その類のものはあまり信じないほうが良いと思うのはこういう理由だ。

初期条件がちょっと違う(社員が違うし、会社の規模が違うし、業種が違うし、企業文化が違うし、時代が違うし、経営者の性格が違うし、人事制度が違うし、経済環境が違うし、・・・・違うものをあげていったらきりがない)だけで、同じようなことをしようとしたってまったく違った結果になるのだ。

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「古池や・・・・・」

2007年 11月 20日

昔は気づかなかったのだが、 「古池や 蛙とびこむ 水の音」 という有名な松尾芭蕉の句はすごいものだなあ、と最近思う。

静寂というものを見事に表現している。

俳句というものは、一切の無駄を排除し、選び抜かれた少数の言葉だけで表現をする。 そういう美学だ。

そういう意味では、マイルス・デイビスのトランペットもそういう美学だ。

「・・・・・・夜の静寂(しじま)の、なんと饒舌なことでしょうか・・・・・・」 (ジェットストリーム、城達也のナレーション) の世界だ。

広告の文とはこうありたいものだ。 商品の独自性を選び抜かれた少数の言葉で言い表したい。

他社も言いそうなことは省き、長々と説明を要するものは省き、・・・・そして研ぎ澄まされた言葉だけで表現する。そういうものは美しいに違いない。

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ヒアリング

2007年 11月 19日

「私は誰でしょう?」というゲームがある。

カードには歴史上の人物名などが書かれている。

カードは頭の上などに掲げられて他の人には見えるが、本人には見えないようにする。

「私は日本人ですか?」 「私は男性ですか?」 「私は江戸時代の人ですか?」 などと質問をしながら自分は誰なのかを当てるゲームだ。

テレビのバラエティー番組でもときどき行われる。

これがゲームとして成り立つのは、なかなか自分が誰なのか当てられないからだ。

ヒアリングとはこのように難しいのだ。 「聞かなかったあなたが悪い」と単純に思わないこと。 それではコミュニケーションが成立しない。

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12音階

2007年 11月 17日

以前、NHKの番組で、ヨーヨー・マ率いるザ・シルクロード・アンサンブルを特集していた。

今、自分たちが普段聞いている音楽は、1オクターブを12に分割した12音階が使われているが、イランなどの民族音楽ではもっと細かい音があり、半音の中が更にいくつかに分割されているのだという。

考えてみれば、1オクターブの中を12に分割しようと決めたのは人間だ。 1オクターブの音の中に何か自然な区切りがあるわけではないから、分けようと思えば無限に分割できる。 100音階にすることだってできるし、逆に5音階にすることだってできる。

12にしようと決めたところに人間の知恵がある。 たぶんこれくらいが人間が創造力豊かに音楽を創っていくのに適していたのだ。

音が12個になったから、モーツァルトもベートーベンもショパンもチャイコフスキーも創造力豊かな音楽を創り上げられた。

音が100個もあったら自由に振舞うのが難しく、5個しかなければ窮屈すぎて不自由する。

これが教えてくれることは、適度な制約が人間の自由を最大に高めてくれることだ。 制約が無さ過ぎても自由になれず、制約が多すぎても自由になれない。

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競争相手を理解する

2007年 11月 16日

「彼を知り己を知らば、百戦殆うからず。彼を知らずして己を知るは一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば戦う毎に殆うし。」

は、孫子の兵法からの有名な言葉だ。

どんなビジネスをしようが、競争相手がいないということはない。 その競争相手を知らずして戦いに勝つことはできないという教えは、まったくもってその通りである。

しかし、「競争相手の何を知るべきか」 になると怪しくなる。

「競争相手の商品とのベンチマークを行い自社商品の足りないところを補う」という行為は無駄ではないかもしれないが、賢いやり方とは思えない。

最も重要なことは、「競争相手は自分たちに何をさせてくれるか」を知ることである。 競争相手は顧客の中でどのようなポジションを占めていて、どのようなポジションを占めていないかを知ることである。

それさえ分かればこっちのものだ。 自分たちの能力と照らし合わせて、自分たちのやるべきことが見えてくる。

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ダイソンのCM

2007年 11月 14日

掃除機メーカー ダイソンのTV CM を見よ。

他のすべての家電メーカーのCMとの違いを見よ。

ここには、楽しげに掃除をする主婦の姿やタレントなどは登場しない。

淡々と語られる女性ナレータの声と映像で、「遠心力を使って吸引する」という商品の独自性が見事に表現されている。

「ダイソン。吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」という最後のメッセージも素晴らしい。

独自化とは、こうやるのだという見本としよう。

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市場に知ってもらう

2007年 11月 12日

マーケティングの一つの役割 「市場を知る」 は重要なことに違いないが、もう一つの役割 「市場に知ってもらう」 はその何倍も重要なことである。

自分たちがいくら良い商品を持っていようが、優れた技術を持っていようが、顧客の役に立つ方法を知っていようが、認知されていないのでは存在しないと等しい。

市場に知ってもらうということは、昔も難しかっただろうが、今は更に難しくなっている。

「とにかく世の中情報過多なのだ」と最初に正しく認識しよう。

朝目が覚めてから夜寝るまでにどれくらいの情報が飛び込んでくるかを想像したらいい。

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、電車の中つり広告、Webサイト、SNS、ブログ、書籍、会社の中に溢れる書類、Eメール、・・・・・・あらゆる媒体を通して情報が飛び込んできる。しかも、どんどん数が増えている。 インターネット関連は特にそうだ。

これらの情報量は人間が処理できる量をはるかに超えているから、人は一瞬で関心を引かなければそれを無視する。 そうしなければ、大事なことに当てる時間がとれなくなるのだから当然そうなる。

自分たちが発信する情報もこれらの中に埋もれた一つなのだ、と理解しよう。

処理できないほどに届けられる膨大な情報量の中で、どうやったら自分たちのメッセージに目を留めてもらうかを考えたら、独自性に真剣にならざるを得ない。

他のものとは圧倒的に違う何かを明確に提示しなければならない。 これにエネルギーを集中させよう。

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