自己組織性


組織をコントロールしようとしても、思い通りにいかないのは組織というものが複雑系であるからに違いない。

複雑系というのは、それぞれの因子(たとえば、一人ひとりの社員とか)が相互に影響をしあうために、未来の振る舞いが予測不可能なシステムをいう。

全体が相互作用して複雑に絡み合っていて、たくさんの循環ループを形成している。こうなると、何が原因で何が結果かがさっぱり分からず、どこから手をつけるべきかが判断つかなくなる。 経済、生態系、社会、政治、などがすっきり解決しないのは、それがみんな複雑系だからだ。

複雑系ではコントロールが難しいからシステムがいつも混沌としているのかというとそうでもない。複雑系でも見事な秩序と調和が造られることがある。

太陽のまわりを惑星が回って構造が作られたり、銀河が形成されたり、水の分子が集まって雪の結晶が造られたりする。

誰がこれを造ったのか? 神か?

いや、これは自分で勝手に構造や形状や秩序を作り上げたのだという。 これを複雑系の自己組織性というのだそうだ。

こういうことの研究により1977年にノーベル化学賞を受賞したイリヤ・プリゴジンという人は、自己組織化するためには3つの条件が必要だといった。

  1. オープン
  2. ダイナミック
  3. ポジティブ・フィードバック

つまり、会社にはこの3つの文化が必要だ。 こうすることにより、自己組織性により組織に美しい構造と強い秩序が作られる。 これを無視して組織を思い通りにしようとしてもそれは無駄な抵抗だ。

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ゆっくりした変化には注意せよ


世の中どんどん変化のスピードが上がり、組織はそれに適応せよ、ということで多くの経営理論、組織理論が論じられている。階層を減らしてフラットな組織にしたり、ネットワーク型組織にしたり、一つ一つを自立的な小規模な集団にしたりだ。

イージス艦のような大きな船が急に進路を変えられないように、これは社員が数千人、数万人もいるような大企業にとっては重要なことに違いないが、ロゴスウェアのような小企業にとってはあまり重大なことではない。小さな組織なので、そもそも組織はフラットだし、新しい会社なのでネットワーク型のコミュニケーションが自然とできている。スピード化ということでいえば、すでに準備は整っているのだ。

不思議なことにあまり議論になることがないが、より重要な課題はゆっくりした変化にどう対応するかだ。 人間も組織も急激な変化に適応するのは大変な苦痛を伴うだろうが、やらなければいけないことははっきりしているので、なんとかなるものだ。

ゆっくりした変化はこれが難しい。昨日も今日もあまり変わらず、今日何かを変えなくても突然破綻したりもしないのだ。そういうときに人間は怠慢になる。何も変化せずにずっと済んでしまうような気がする。

あるいは、変化がゆっくりだと変化していることすら認知されないのかもしれない(アハムービーのように)。

この問題には、急激な変化に対する以上の意識を持って取り組まなければならない。

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ネットワーク型組織


組織というものは、何となくあって何となく動いているものではないから、いろいろな組織にはその意図がある。

サッカー日本代表前監督オシム氏がめざしたのは「考えて走るサッカー」である。「考えて走るサッカー」を実現するために選手を集め、指導をし、組織を作る。

ロゴスウェアの組織がめざすものは、「スピード」である。資金力、人材力、などの力では、大手企業に絶対勝てないから、スピードで勝負をしなければいけない。

情報伝達のスピード、意思決定のスピード、製品開発のスピード、市場投入のスピード、を極限まで高めなければならない。

そのために選択されたのはネットワーク型の組織である。 ピラミッド構造の組織は安定しているが、どうしてもスピードに欠けるので、ネットワーク型の組織を選択している。

ピラミッド型の組織では各社員は所属する部門の長とだけつながっていて情報の伝達や意思決定はそこを通して行われるが、ネットワーク型の組織では社員はあらゆるところとつながっている。情報の伝達経路もさまざまだし、意思決定の方法もさまざまだ。

ネットワーク型の組織を作るためにまずしなければいけないことは文化の構築だ。そこには、主体性を発揮する文化、オープンに議論する文化、チームに貢献する文化が不可欠だ。 これらは、ロゴスウェアでは重要な価値観として定義され、その行動が評価される。

ネットワーク型の組織には、同時に、それを支援するツールが必要だ。各自が、必要な情報をいつでも入手できて、共有できるシステムだ。ロゴスウェアの中では、バーチャルな意見交換の場としてのSNSがあり、情報を蓄積しておくためのグループウェアがあり、会社の営業状況を把握するための情報システムなどがある。

ネットワーク型の組織は、文化と情報システムの両面からサポートされなければならない。

ロゴスウェアの現状を言うならば、この両面において、まだ完成形には至っていない。ネットワーク型組織は、ピラミッド型組織に比べて複雑なので、安定的に運営するためには、努力と時間を要する。文化の浸透には時間を要するし、情報システムも更なる改善が必要だ。

特に意思決定のプロセスにおいては十分な配慮が必要だ。しばらくの間は、多くの意思決定に経営責任者が介入しなければならないだろう。これは、スピード化を妨げるものであり、また中央集権を強めるものであるが、時間をかけて解決しなければいけない点だ。

しかし、私たちのめざす方向は明確だ。

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12音階


以前、NHKの番組で、ヨーヨー・マ率いるザ・シルクロード・アンサンブルを特集していた。

今、自分たちが普段聞いている音楽は、1オクターブを12に分割した12音階が使われているが、イランなどの民族音楽ではもっと細かい音があり、半音の中が更にいくつかに分割されているのだという。

考えてみれば、1オクターブの中を12に分割しようと決めたのは人間だ。 1オクターブの音の中に何か自然な区切りがあるわけではないから、分けようと思えば無限に分割できる。 100音階にすることだってできるし、逆に5音階にすることだってできる。

12にしようと決めたところに人間の知恵がある。 たぶんこれくらいが人間が創造力豊かに音楽を創っていくのに適していたのだ。

音が12個になったから、モーツァルトもベートーベンもショパンもチャイコフスキーも創造力豊かな音楽を創り上げられた。

音が100個もあったら自由に振舞うのが難しく、5個しかなければ窮屈すぎて不自由する。

これが教えてくれることは、適度な制約が人間の自由を最大に高めてくれることだ。 制約が無さ過ぎても自由になれず、制約が多すぎても自由になれない。

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人間の性格や才能は変えることができない


科学はいろいろなことを解き明かしてくれるが、ここ10年~20年くらいで発達したものの一つは、脳神経科学だ。 今、私たちは脳のメカニズムについて以前よりもいろいろなことを知っている。

例えば、次のようなことがわかっている。

人間は生まれたとき、脳に1,000億個のニューロン(神経細胞)を持っている。

ニューロンとニューロンの間は、シナプスと呼ばれる細胞によって信号伝達が行われ、結合される。

人間は、生まれたその日から、ニューロンからのシナプス放出を開始し、シナプス結合を試みる。

3歳くらいになると、1,000億個あるニューロンは、それぞれが15,000のシナプス結合を持つ。

しかし、これでは情報量が多すぎて、人間がいろいろなことを適切に判断するには支障をきたすらしく、その後10年くらいをかけてシナプス結合の整理整頓が行われる。

つまり、重要と判断したシナプス結合を更に強力にし、重要でないと判断したシナプス結合を消滅させる。 (人間が、何によってこのこの選択を行っているのかははっきりしないようだ。 遺伝だという意見もあるし、育て方や環境だという意見もある。)

いずれにしても、人間は15歳前後の頃には、このシナプス結合を完成させる。 この結合のさせ方は人間一人ひとり違うもので、これが人間の才能や性格を決定させる。

それ以降、シナプス結合の配線をやり直すことは、ほぼ出来ない。

従って、人間の性格や才能は、その後、大きく変えることはできない。

このようなことが脳神経科学が明らかにしたことだ。

細かいことはさておき、仕事の上で重要なことは「人間の性格や才能は、大きく変えることはできない」という結論だ。

私たちが、会社で人材育成をしたりするときに、これは忘れてはならない点だ。 技能を向上させたり知識をつけたりはできるが、性格を変えたり新しい才能を作り出すことはできない、と理解しなければいけない。

これを正しく理解しないと、人材の育成に無駄な時間とお金をかけ、そのうえ、変わらない社員に悩むことになる。

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