今年の5月くらいにアプリックスという携帯用ソフトウェア開発会社が76億円もの特別損失を計上したことがあった。 これにより、今期7億5,000万円の黒字予測が、一転して75億円の赤字予測になった。
簡単に言えば、自社開発したソフトウェアを76億円の価値があるとして資産計上していたが、どうもすぐに売れそうもないということで一気に費用化したもののようだ。
ソフトウェアの開発は、企画、設計、コーディング、・・・と進んでいくが、規則正しく工程が進むわけでもなく(前工程に戻ったり、あるいは最初の工程に戻ったりは頻繁に発生する)、目に見えるものでもないだけに、どこまでが研究開発費としての経費なのか、どこからがソフトウェアの資産なのかがはっきり定義しづらい。
一応、「製品マスターの完成」と「販売の意思」を持って線引きをすることになっているが、やはり曖昧だと言わざるを得ない。損益計算書上で利益が上がっているように見せたいのか、見せたくないのかという経営者の意思で、操作ができてしまう。
財務諸表に記載される利益は解釈次第と言われるが、普通に考えれば何とも釈然としない。会計学としてはどう解釈されるのか知らないが、少なくとも経営者と株主の視点で見れば、何かすっきりしない。
ソフトウェアの場合、開発したものが将来の売上につながるかどうかなんてさっぱりわからないのだから、これらのものは必要最低限のところだけ資産とし、その他の多くは研究開発費として経費計上すべきであると思う。 つまり、少額のソフトウェア資産と多額の研究開発費用となる。
いくつかのベンチャー系上場会社の財務諸表を見てみた。勿論違法ではない。しかし、気に入らない会計をしている会社はある。これは信念の問題だ。