2週間ほど前のある新聞記事より
今季、米国大リーグ、ツインズに入団した西岡という遊撃手がいます。彼は、あるとき試合で目の覚めるようなファインプレーをしました。三遊間深くに転がったゴロをに追いつき、体の正面で捕球。一塁にノーバウンドで送球し、間一髪でアウトにします。
後日、監督から注文がつきました。「体の正面ではなく、逆シングルで捕って欲しい。そうすれば、もっと早く打者走者を刺せるはず。」
三遊間のゴロの処理について、日米間で考え方の違いがあります。
日本では、ゴロの正面に回り込んで捕るのが基本。球を後ろにそらさない確実性が重視されています。一方、大リーグでは、体から右よりのゴロは、グラブを伸ばして片手でとる逆シングルが主流。球をはじくリスクもあるが、無駄な動きが無い分、素早く送球体制に入れます。
正面で捕るのは、いかにも日本人らしい。正面で捕っていては、どんなに堅実なプレイをし、エラーを無くしたとしても、どうしても一定割合で打者に内野安打を許します。
にも関わらず、正面で捕るのはなぜでしょうか?正面で捕ってさえいれば、内野安打を許してもエラーと判定されないからでしょうか?エラーと判定されなければ自分のせいではないからでしょうか?
合理的には、こう考えるべきです。 「正面で捕って内野安打を許す確率、逆シングルで捕ってエラーする確率、どちらが大きいのか?」 判定が内野安打であれ、エラーであれ、どちらにしても走者を許すわけで、結果は同じなんですから。
さて、私たちは、同様の状況に、日常の仕事の中で、年中遭遇します。いつもエラーしないやり方、「体の正面で捕る」やり方、だけを常識だと思い込んでいます。でも、「逆シングルで捕る」やり方についてちょっと考えてみましょう。その方が、合理的に考えて、成功確率を高めるということはあるのだから。