釈迦は菩提樹の木の下に干草を敷いて静かに座り瞑想し、ついにこの世界や人生に関する真理を悟って仏陀となったという。
釈迦が悟ったのは縁起の法則というものだ。 縁起とは、世の中のさまざまな存在や現象は、ある原因を持っており、それに一定の条件が加わって、その結果として存在や現象が現れるという考え方だ。
釈迦は、縁起の法則によって、世の中にある苦しみというものは結果であって、その原因を探れば、それは世の中の真理に対する根本的な無知(無明という)であると悟った。 だから、世の中の苦しみを無くすためには、その原因である無明を滅しなければいけないといった。
仏教とかいうものは、非論理的な世界と考えていたが、釈迦のもともとの教えは、すごくシステマティックで論理的思考に基づいているので驚かされる。
システム思考に関する本を読んだとき、世の中の現象を原因と結果の因果関係によって表そう、という根本的な発想は釈迦の教えと同じだと思った。
世の中の物事や現象を、それぞれの個別の要素だけでとらえようとしても本質的なところがわからない。いろいろな要素のそのつながり方がわかれば、どこをどうすれば、期待した結果を得られるのかがわかる。
製品の売上を伸ばすのも、工場の不良率を下げるのも、地球環境を良くするのも、的外れなところをいくら改革しても良い結果が得られない。
ということで、システム思考でいろいろな現象の因果関係を表してみよう・・・・と思うのだが、これが難しい。
だいたい世の中の現象は、単一の原因が単一の結果を引き起こしている、などという単純なものでないから、いろいろな要素があっちこっちにつながり、あるときはループし、あるときは正の力が働き、あるときは負の力が働き、あるときはどっちが原因でどっちが結果かがわからなくなる。
というわけで、それは釈迦が縁起の法則を発見し悟りをひらくように難しいのだから、気持ちを落ち着けて深く深く考えるしかない。