ミーム


先日、リチャード・ドーキンスが書いた「利己的な遺伝子」のことに触れた。 実は、この本の中では更にとんでもないアイデアが提示されている。「ミーム」というものだ。

文化は個体の脳から脳へコピーされて伝わる。ときにはコピーミスを起こし、これが新しい文化を生むことがある。役に立つ文化はよくコピーされるが、役に立たない文化はあまりコピーされずいずれ廃れてしまう。 これはまるで、遺伝情報が遺伝子によって伝わるのと同じではないか。遺伝情報を伝える単位を遺伝子というのなら、文化を伝える単位を「ミーム」と呼ぼう。

人間は「遺伝子」と「ミーム」という2種類の自己複製子の乗り物である、という考えはたいへん斬新であるが、非常に説得力があり、確かにその通りかもしれない、と思わせる。

世の中のスピード競争とは、言ってみればミームを伝えるスピードの競争だ。

昔、ミームを伝えるスピードは人間の歩くスピードであった。やがて車の走るスピードになり、飛行機の飛ぶスピードになった。

今やこれは、光ファイバーの中を光が進むスピードになった。 技術的には、ほとんど一瞬のうちに、世界中のどこにでもミームを伝えられ、他人の脳から脳へ次々とコピーされる。

勝負は、ミームの乗り物としての人間がこのスピードについていけるかどうか、大量のミームをどう処理するのか、そしてミームの質となった。

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ジャスト・イン・タイム学習


昔、自動車工場における最善のやり方はフォードの大量生産方式だった。ベルトコンベアを使い、作れるときに大量に作り、プロセスごとに多量の在庫を持つことが最適な生産方式であると信じられてきた。

トヨタはまったく違うアプローチをとった。ジャスト・イン・タイムというコンセプトで語られるものだ。ジャスト・イン・タイムのコンセプトは「必要なものを、必要なときに、必要なだけ作る」というものだ。 これにより、トヨタは自動車業界の勝者になった。

教育の世界はどうか?

教育の世界は、フォードのベルトコンベア・システムと同様のアプローチをとっている。学校や教室に通って、知識を大量に頭の中に在庫するのだ。

ロゴスウェアは、ジャスト・イン・タイムの学習を推進したい。何か知りたいこと、知らなければいけいことに遭遇したときに、15分程度ですぐに特定のポイントについて学習できるようにしたいのだ。

eラーニングを単に教室のコストなどを削減するアプローチだととらえると大事なことを見落とす 。 ジャスト・イン・タイム学習は、従来の教育方法ではできなかったことだ。まったく新しい学習方法を提供するものだ。

ジャスト・イン・タイム学習は、「必要な知識を、必要なときに、必要なだけ学習する」ものだ。

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「たいせつなものはね、目に見えないんだよ…」


「たいせつなものはね、目に見えないんだよ…」

星の王子さま、 サン・テグジュベリ

ロゴスウェアのオフィスはつくばと東京にあり、週の半分は東京のオフィスに勤務する。 人に会うためだ。 顧客であったり、代理店であったり、事業パートナーであったり、投資家であったりする。

インターネットで溢れるばかりの情報を入手できる。しかし、本当に大事な情報は、ネットで公開されていない。

本当に大事なことは、むやみに人に教えられないのだ。勿論、新聞や雑誌やテレビでも入手できない。それらは、信頼関係の下に、人から人に直接伝えられるものだ。

本当に大切なことを知ろうとすれば、多くの人に会わなければならない。

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KEKの素粒子の研究


昔の人間は、夜、星を眺めながら多くの時間を過ごしたのだろう。そんな中から、星座の物語を創造し、偉大なる宇宙にたくさんの神々を見たのだろう。

宇宙の構造や仕組みについてのそれなりの知識を得ている現在の私たちにとっても、宇宙は神々しい。あのあまりにも広大な宇宙全体が一定の法則によって動き、秩序が保たれているのだと考えるとき、その法則の神がかりな力に心をときめかせる。

「私たちはどこからきたのか」という哲学的な問いに人間は何千年も前から答えようとし、それは今も変わらない。素粒子の研究は現在における哲学的探求だ。

1928年、ディラックは、量子力学と相対性理論の整合を試み、ディラック方程式を考案し、電子と反対の性質をもった粒子の存在を予言した。1932年、アンダーソンは、宇宙線の中に陽電子を発見し、ディラックの予言が正しかったことを証明した。共に後にノーベル物理学賞を受賞している。

陽電子と電子は、プラスとマイナスの関係である。一緒になると互いの存在は消え去る。ここに「粒子」に対する「反粒子」の存在が確認された。

宇宙は最初、想像を絶するような高温で高密度な小さな世界だった(らしい)。そのようなところでは、衝突が頻繁に起こり、「粒子」と「反粒子」が作られては消え、消えては作られる、ということだった(らしい)。

そこで、ビッグバンというものが起こり、宇宙が大膨張した(らしい、以下らしい省略)。 宇宙が大膨張すると、宇宙の温度が下がる。

そうなると、衝突による粒子・反粒子の生成はなくなり、あるのは、粒子と反粒子が一緒になり、消え去るのみとなる。

そうなると、この宇宙には物質は何もなくなるはずであるが、現に物質は存在している。 それはなぜか? この疑問に答えようとしているのが高エネルギー加速器研究機構(KEK)で行われている研究の一つだ。

どうも「粒子」と「反粒子」には、微妙に違うところがあるらしく、10億に1つの割合で、粒子は消えずに残るのだという。それを証明しようと、B中間子と呼ばれる素粒子を大量に作り出し、その衝突実験を行っているのが、KEK内にあるBファクトリーと呼ばれる1週3Kmにおよぶ巨大な加速器だ(将来、KEKの研究からノーベル賞受賞者が誕生したら素晴らしい)。

KEKは筑波研究学園都市にあり、縁があって、今回、素粒子実験の学習をするeラーニング教材の制作を担当させていただいた。 KEK内にある総合研究大学院大学の学生向けに作られたものなので、中身は専門的だが、ナレーションを使いスライドを説明していくタイプにしたことにより学習効果が高まる工夫がされている。

今回は専門家向けの内容だったが、機会があったら、一般の人向けにサイエンスを伝えることにWebの効果(アニメーション、ビデオ、インタラクティブ性、など)が使えたら素晴らしい。

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教育のマスカスタマイズ


教育の問題が新聞などに掲載されない日はない。 ある者は「競争原理を学校に導入せよ」と主張し、ある者は「基礎学力向上には詰め込み教育が必要だ」と主張し、ある者は「見守る教育が必要だ」と主張する。

考えてみれば、教育問題は、20年前も問題であったし、今日でも問題だ。 日本でも問題であるが、アメリカでも問題だし、フランスでだって問題だ。 つまり、世界中、どの時代でも問題であって未だに解決はしていないのだ。

企業などの人材開発においては、状況対応型が用いられる。 つまり、黄金の法則などなく、誰にでも通用する最適のやり方など無い、ということが前提となっている。 人は一人ひとり、それぞれ状況が違うのだから、一人ひとりに適合したやり方を選ばなければいけないという考え方だ。 考えてみればこれはもっともなのだ。 新入社員や仕事を変わったばかりの人は明確に規定された仕事を与えるべきだし、こまめに進捗を見ていかなければいけない。仕事に慣れてくれば組織の目標や価値観から自ら何を成すべきかを考えるだろう。 これらの社員には自己管理が適している。

学校はどうだろう。 生徒は一人ひとり状況が違うはずだ。 非常に学習意欲を持った生徒もいるし、その逆もいる。 学習意欲を持った生徒に詰め込み教育は間違っているかもしれない。 自ら考え、課題を見つけ、学習する能力を向上させた方が良い。 学習する習慣が身についていない生徒には訓練が必要かもしれない。 いずれにしても、一人ひとりに最適なやり方を提供してあげられれば素晴らしい。

昔、フォード自動車創業者 ヘンリー・フォードが、低コスト大量生産のモデルを語るために、「黒ならば、どんな色でもどうぞ」と言ったという話は有名だ。 昔は、単一仕様のものを低コストで大量生産するマス製品と、安くはできないが一人ひとりのために作るカスタマイズ製品の2種類があって、両方同時にはできないと信じられてきた。

今、産業界で求められているのは、マスカスタマイズ製品だ。 大量生産品のような低コストで、一人ひとりのためにカスタマイズされた製品である。 これを実現したのが情報技術だ。 アマゾンは、一人ひとりの好みを把握し、提案している。 ウェブの広告は、一人のひとりに最適なものが表示されるように日々進化している。

教育のマスカスタマイズができないのだろうか?  教育におけるITの活用とはこういうことを実現していくことだと思う。

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