仏教の教えによれば、すべての現象には実体がない。 これは「空」の思想というものだ。
すべてを「空」と見るのは大変難しいが、知識に関して言えば、それは「空」だ。実体がないのだ。
知識を何か実体のあるものとして処理しようとするとうまくいかない。 過去、ナレッジマネジメントなるものがうまく機能しなかったのはこういうところに原因があるように思える。
知識を実体のあるものと考え、データベースに保存して体系化しようとする取り組みだけでは何か大事なものが失われている。
ほとんどの知識はどこにも記録されてなく、ただ人間の頭の中にある。うまく言葉に表すこともできず、そもそも自分が知識を持っているという意識すらない。それは日々変化し、新たな何かが加えられたり、忘れ去られたりする。普段は意識していないが、何かのきっかけで思い出したり、ひらめいたりする。
自分たちが扱いたい知識とはこういうものだ。