人間の性格や才能は変えることができない


科学はいろいろなことを解き明かしてくれるが、ここ10年~20年くらいで発達したものの一つは、脳神経科学だ。 今、私たちは脳のメカニズムについて以前よりもいろいろなことを知っている。

例えば、次のようなことがわかっている。

人間は生まれたとき、脳に1,000億個のニューロン(神経細胞)を持っている。

ニューロンとニューロンの間は、シナプスと呼ばれる細胞によって信号伝達が行われ、結合される。

人間は、生まれたその日から、ニューロンからのシナプス放出を開始し、シナプス結合を試みる。

3歳くらいになると、1,000億個あるニューロンは、それぞれが15,000のシナプス結合を持つ。

しかし、これでは情報量が多すぎて、人間がいろいろなことを適切に判断するには支障をきたすらしく、その後10年くらいをかけてシナプス結合の整理整頓が行われる。

つまり、重要と判断したシナプス結合を更に強力にし、重要でないと判断したシナプス結合を消滅させる。 (人間が、何によってこのこの選択を行っているのかははっきりしないようだ。 遺伝だという意見もあるし、育て方や環境だという意見もある。)

いずれにしても、人間は15歳前後の頃には、このシナプス結合を完成させる。 この結合のさせ方は人間一人ひとり違うもので、これが人間の才能や性格を決定させる。

それ以降、シナプス結合の配線をやり直すことは、ほぼ出来ない。

従って、人間の性格や才能は、その後、大きく変えることはできない。

このようなことが脳神経科学が明らかにしたことだ。

細かいことはさておき、仕事の上で重要なことは「人間の性格や才能は、大きく変えることはできない」という結論だ。

私たちが、会社で人材育成をしたりするときに、これは忘れてはならない点だ。 技能を向上させたり知識をつけたりはできるが、性格を変えたり新しい才能を作り出すことはできない、と理解しなければいけない。

これを正しく理解しないと、人材の育成に無駄な時間とお金をかけ、そのうえ、変わらない社員に悩むことになる。

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