あるプログラマの嘆き
「自分が3週間でプログラムを書くと3週間の報酬しか得られない。出来の悪いやつが3ヶ月かかって書くと3か月分の報酬を得る」
ソフトウェア企業の経営は、他の産業とはちょっと違ったやり方でやる必要がある。 他の産業には見られないいくつかの特筆すべき違いがあるからだ。
プログラマの個人能力の違いはあまりに大きい。ある調査によれば、最も生産性の高いプログラマと最も生産性の低いプログラマの間には、10倍~20倍の開きがあるという。 いくら時間をかけても同じものは作り出せない場合もある。プログラム開発はアートの世界に近いのだ。
最近はそういう個人の能力によって成果が大きく違ってしまう職種(いわゆる、知識労働者、専門職)も増えてきていると思うが、ソフトウェア企業においては、彼らが中心的な社員なのだ。決してこの特性を無視して組織は運営できない。
このような企業では、社員の評価(報酬額の算出)を最終的に達成した成果ではなく、かかった時間によって決めるのは合理的ではないし、公正ではない。
専門職の成果を正しく評価するのはとても難しい仕事である。専門職の仕事を完全に測定する方法などどこにもないからだ。それでも私たちは、その評価を下すことから逃れてはいけない。