ゆっくりした変化には注意せよ


世の中どんどん変化のスピードが上がり、組織はそれに適応せよ、ということで多くの経営理論、組織理論が論じられている。階層を減らしてフラットな組織にしたり、ネットワーク型組織にしたり、一つ一つを自立的な小規模な集団にしたりだ。

イージス艦のような大きな船が急に進路を変えられないように、これは社員が数千人、数万人もいるような大企業にとっては重要なことに違いないが、ロゴスウェアのような小企業にとってはあまり重大なことではない。小さな組織なので、そもそも組織はフラットだし、新しい会社なのでネットワーク型のコミュニケーションが自然とできている。スピード化ということでいえば、すでに準備は整っているのだ。

不思議なことにあまり議論になることがないが、より重要な課題はゆっくりした変化にどう対応するかだ。 人間も組織も急激な変化に適応するのは大変な苦痛を伴うだろうが、やらなければいけないことははっきりしているので、なんとかなるものだ。

ゆっくりした変化はこれが難しい。昨日も今日もあまり変わらず、今日何かを変えなくても突然破綻したりもしないのだ。そういうときに人間は怠慢になる。何も変化せずにずっと済んでしまうような気がする。

あるいは、変化がゆっくりだと変化していることすら認知されないのかもしれない(アハムービーのように)。

この問題には、急激な変化に対する以上の意識を持って取り組まなければならない。

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ビジネスを大きくする3つの方法


ロゴスウェアもこれで創業から6年半が経過した。数人でスタートした会社だが、社員数は30名を超えるところまできている。ここまでは順調に推移しているといっていいだろう。 連続22四半期、増収増益も続けている。

ロゴスウェアで働く人たちが一生涯に渡って幸福になるためには、これから更に10年や20年は継続的に成長させなければならない。これは経営の責任を担うものにとって一番の任務である。 

スタートアップのベンチャー企業としては当然そうなるのだが、現在の社員の年齢構成は20代、30代に集中している。例えば、これから10年経過したとすると、今の社員は30代、40代となる。10年後でも健全な組織であるためには、私たちは新たな20代の社員を必要とする。 

今の社員が成長し、部下を持ち、より大きな仕事に挑戦できるようにするためには、そのようなバランスのとれた年齢構成が必要となる。新たな社員を雇用するためには私たちは成長し続けなければならないのだ。

そういう意味で、経営者としての私は売上高を連続的に向上させていくプレッシャーから逃れることはできない。どうやったらそんなことができるのかと混乱したときは、いつもシンプルな原点に立ち返って考える。

有名なマーケッター、ジェイ・エイブラハムが著書の中で書いていたシンプルな法則だ。

ビジネスを大きくする方法は、たった3つしかない。

1. 顧客の数を増やす

2. 顧客あたりの平均販売額を増やす

3. 顧客の購入頻度を増やす

3つの要素を各々10%大きくすれば、会社全体では33%の成長になる。3つの要素を各々25%大きくすれば、会社全体では95%の成長になる。

会社のセールスやマーケティング活動は、この3つのフレームワークに分けて考えるとよい。各々を10%程度大きくするのなら簡単そうじゃないか。

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生存者偏向


第二次世界大戦中、戦闘機の耐久性について研究していたエイブラハム・ワルドという学者は、生還した戦闘機のある部分が他の部分に比べて極端に被弾していることに気づいたという。

その報告をうけて、軍関係者は戦闘機のその被弾の多い部分を補強するように提言するが、エイブラハム・ワルドは次のように言う。

「補強すべきは、ほとんど被弾を受けていない部分である。なぜなら、自分たちが調べたのは生還した戦闘機だ。被弾が多い部分に障害を受けても戦闘機は飛び続けるのだ。生還できなかった戦闘機は、生還した戦闘機がほとんど被弾しなかった部分を破損したからに違いない。」

こういう問題を「生存者偏向」という。 

企業に置き換えてみよう。 日本の企業の現状を見ると、いろいろな問題点が浮かび上がってくる。 労働環境のことやモチベーションのことや人事制度のことやメンタルケアのことや人材教育のことや、いろいろである。

それでも企業は生きている。 生還した戦闘機に例えれば、企業生命が途絶えるかどうかは、きっと生きている企業が被弾していない部分にあるのかもしれない。 それらは生きている企業にとっては普段気にもしていない問題なので、あまり分析されることもないのだろう。 しかし、本当に大切なのはそういう部分かもしれない。

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タイムマシンモデル


昨日の日経産業新聞は、日本のネット業界について、「米国発のサービスを移植や翻訳して日本に持ち込むタイムマシンモデル」と書いていた。

ブログ、SNS、ソーシャルブックマーク、写真共有、動画共有、・・・・・・・。 アメリカで話題になり始めると、それを真似したサービスを日本で展開するというモデルで、なんとたくさんのネット系ベンチャー企業が生まれたことか。

もうそういうのは止めよう。 そこには創造性がないではないか。 創造的でなければ楽しくないではないか。

新しいコンセプトを創ろう。 社会を変えるようなコンセプトを創ろう。 スティーブ・ジョブズ流に言えば、「宇宙に衝撃を与えるような」コンセプトを創ろう。

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自由と平等


歴史を振りかってみれば、民主主義というものが始まったのはそう昔のことではないようだ。 アメリカ合衆国は、1776年の独立宣言で「自由」と「平等」を高らかに謳い上げるが、その後長いこと奴隷制度はあったし、ヨーロッパ文化を引き継いだ階級意識のようなものも存在した。

しかし、アメリカは高い理想を掲げた。人民主権の国がうまくいくかどうかわからないが、とりあえずやってみよう、となった。 壮大な実験が始まった。

「一般国民の多数決で正しいことなんて決められるわけがない」というのが当時のほとんどの国の考えだ。「しかるべき人たちがしかるべき方法で決めるのがよい」と考えられていた。 つまり、専門知識も何もない一般国民に国の大事なことを決めさせるなんて危なすぎる、としかるべき身分にいる人たちは考えていたのだ。

多くの論争と時には血を流す戦いの末、一歩一歩、民主主義は成長し、ついには1917年の対ドイツ宣戦布告文の中でアメリカは「世界の民主主義のために戦う」と謳うことになる。

今は当たり前のように思われている民主主義だってこのような長い歴史の中で作られたものであるから、ウェブの世界で話題になる「群集の知恵」(Wisdom of Crowds)が広く浸透するにはまだ多くの実験が必要だし、時間がかかるだろう。

実空間の民主主義だって完全にすばらしく機能しているわけではなく、今だって理想に向かって進んでいる状態なわけだから、仮想空間の群集の知恵が今完全に機能していなくたって、なんら問題はない。

そのような仮想空間の世界を理想的だと思う人たちと、馬鹿げた世界だと思う人たちが両方いる。

「ウェブの世界は玉石混交だ。くだらないもの、間違ったもので溢れかえっていて信用がおけない。その点、既存メディアである新聞やテレビは信頼に値する。」と権威のある人たちは言う。

ただ、私はウェブの未来を信じるのだ。 民主主義が、身分とそれに付随する特権から人を開放して、自由と平等を推進したように、ウェブは新たな人間の解放を成し遂げると思う。

いま私たちには、貴族とか農奴とか奴隷とかの身分制度はない。貴族だけに与えられていたような特権もない。しかし、社会にはまだ不平等なところがあるのだ。

日本の官僚はずいぶんと好き放題をしているようだし、組織の中でも何か納得のいかない理由で一部の人たちに権限が集中しているということもあるだろう。 

何がそうさせるのだろうか?

その一つの原因は、情報が開放されていないからではないかと思うのだ。ある特定の情報を握ったものが、それを抱え込み、それによって自分を権威付けしているのでないか。

「知と情報」が開放されたら、人間は次の次元の「自由」と「平等」を手に入れるのではないか。それがウェブが担う役目なのだと思う。

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