ピーター・ドラッカーは、「ポスト資本主義社会」(1993年)の中で、知識は新しい社会における唯一の意味ある資源であると論じ、そのような社会を「知識社会」と呼んだ。
アルビン・トフラーは、「パワーシフト」(1990年)の中で、知識は力の源泉であり、知識が他の資源のすべてにとってかわると論じた。
企業の競争力は、土地や工場や設備などのハード資産から、知識をベースとする部分、例えば、技術ノウハウ、製品設計、マーケティング、創造性、顧客サービス、組織の革新性などに移動している。
社会は「知識社会」となり、労働者は「知識労働者」となった。 であるならば、企業は「知識企業」となるべきで、経営者は「知識経営者」となるべきである。
今、ありとあらゆることのスピードが上がっている。 顧客は、問題や課題に対して、よく速く解決策が提供されることを要求している。 いつでも、どこでも、専門家の知識を営業現場にリンクさせて、顧客の要求を満足するスピードで解決策を提示できるか?
製品開発サイクルもスピードを上げている。 テクノロジーの変化、顧客ニーズの変化のスピードが上がっているので当然である。 このような環境の中で、じっくり6ヶ月もマーケティング戦略を練っている余裕は誰にもない。 顧客接点となるあらゆる現場で聞いた顧客の現在のニーズや将来への要望は、素早く開発スタッフへ引き渡されているか?
これらの答えがNOであれば、知識は管理されていない。
もし知識が文書化された業務マニュアルやデータベースに記録されたデータのことだけを指しているのであれば、管理はより簡単だ。 しかし、これだけでは上のような問題を解決してはくれない。 ロゴスウェアを経営する中で、知識とは、社員一人一人の脳の中に存在することがはっきりした。 それらは、一人一人の脳の中で日々進化し、そしてどこにも記録はされていなかった。
私たちが実現したいのは、社員一人一人の脳の中に存在する知識を、知識を必要とする場所へすばやく伝達し、共有するための仕組みだ。 顧客接点の現場、開発の現場、それらがネットワークで結びつき、有機的組織が構成されるようにするのだ。 これを実現するには、忘れてはいけないもう一つの重要な点がある。 知識を共有しようという文化を同時に作らなければならない。 社員一人一人の間に人間関係、信頼、仲間意識、オープンさ、そして与えて得るというWin-Win 精神が必要だ。 これを達成するために、オフラインでの活動に加えて、オンライン上に構築された「くつろぎの場」での交流が重要になる。