コミュニティのインフレーション


本当かどうかは私に知る由もないが、宇宙の進化モデルにインフレーション理論というものがある。

その理論によれば、宇宙は誕生直後のごく初期段階(10-36秒後から10-34秒後までの間)に、急激に膨張したのだという。 どれくらい膨張したかというと、百桁膨張したという。百桁というのは、百億倍の百億倍だ。 これだけの膨張が、ほんの一瞬の時間の間になされたのだという。

これを借用すれば、インターネットはコミュニティにインフレーションを引き起こしている。

コミュニティとは、元来、同じ地域に居住して利害を共にし、政治・経済・風俗などにおいて深く結びついている社会のことだ(Wikipediaより)。

昔のことを考えれば、自動車も電話もないのだから、コミュニティというものは、ごく近所の人たちの何らかの集いであった。たくさんのコミュニティはない。 青年会とか婦人会とか、そんな類のものだ。

自動車や電話ができて、人間の活動範囲が広がった。 それにともなって、より多様なコミュニティが形成された。 全国的な組織も形成されたし、国際的な組織も形成された。 しかし、この段階までは実際に顔を合わせて作られるコミュニティだ。 人間の物理的な活動量には限界があるから、コミュニティの数はそれに制約される。

ここにインターネットが登場し、状況が一変した。 バーチャルな世界で、毎日、膨大な数のコミュニティが作られ始めたのだ。

過去そうであったように、社会や組織のあり方というものはコミュニケーション技術によって作られる。 インターネットが作り出すコミュニティが、私たちの社会や組織や働き方を間違いなく変えるのだ。

もはやコミュニティの成員は、同じ地域に住んでいるわけでもなく、同じビルで働いているわけでもなく、場合によっては顔見知りであるわけでもない。ちょっと昔だったら完全に他人なのだが、いまやコミュニティの仲間となっている。

コミュニティは人間の交流だから、そこには親近感が必要だし、人間的な深みのある関係が必要だ。 この領域は、これからインターネット上のコミュニティ技術が更に進化させていく領域だ。新しい何かが生まれるだろう。それは、インターネット上のコミュニティを従来とは違ったやり方で居心地の良い場所にする何かだ。

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