あしたのジョーの丹下段平は「明日はどっちだ」と叫ぶ。 今日の経営者の叫びと同じだ。
未来はますます不確実になっている。 これまで成功に導いてくれた公式が明日には役立たなくなっている。 多様化し素早く変化する顧客の嗜好を予測しづらくなっている。 製品寿命は短くなるばかりだが、顧客は次に何を求めるのか予測しづらくなっている。 業界の境が曖昧になり、将来誰が競合相手になるのかさえ予測しづらくなっている。 突然、視界に入っていない海の向こうから競合が現われるかもしれない。 突然のパラダイムシフトが起き、今の技術基盤が無価値なものになる危険さえある。 ビジネスモデルそのものが破壊される可能性もある。
このような不安を解消するために、未来をできるだけ早く、できるだけ正確に予測したいと誰もが願っている。
未来の変化を予測し将来の見通しを得るために、ある人はイノベーションの理論に頼り、ある人は直観力に頼る。 何の根拠もなく、占いや霊感の類に頼る人さえ増えているようだ。 それでも、予測は不確かで、常に未来は不確実だからいつも不安が消えない。
先日、ソニー創業者の一人、故井深大の「未来は予測するものではなく、作り出すものだ」という言葉を目にした。 明快である。 そう思ってしまえば、あれこれ悩むことはなくなる。 やるだけである。
ソニー旧本社のあった御殿山エリアに、ソニー歴史資料館ができた。 そこでは、創業者の故井深大が肉声で 「未来は予測するものではなく、作り出すものだ」と言ってくれるらしい。