組織図というもの


ロゴスウェアを始めた当初、私たちには組織図というものはなかった。 5、6人でやっていたので、それは必要ではなかった。 一人ひとりがいろいろな役割をこなさざるを得なく、何の役割を担うかは一人ひとりの強みに依存していた。  職務内容に人をアサインしていたのではなく、人に仕事をアサインしていた。

しばらくたって、人が増えてきたので、組織図なるものを作った。 面白いことに、組織図ができると仕事の効率は落ちた。 組織図がまずあって、それに人がアサインされている、という意識にとらわれてしまうようだ。  自分の役割を固定しすぎるのだ。 これでは組織は機動的ではない。 まずは人ありきであるべきだ。 一人ひとりの強みに合わせて仕事がアサインされ、それが組織図という形に表現できたら素晴らしい。  そのとき、組織図は綺麗な図ではないかもしれない。 また、頻繁に変わるかもしれない。

以前インテルで働いたとき、何度かアメリカで仕事をする機会があった。 私に用意された机にPCはあったのだが配線がしていなかったので、机の下にもぐりPCのAC電源を差したり、本体にモニターのケーブルを差したりしていた。 そのとき通りかかった人が言った。 「おいおい、おまえはテクニシャンか?」  どうも、アメリカではこの手の作業をするのはテクニシャンと呼ばれる職種の人たちで、エンジニアはそういうことはしないようなのだ。 馬鹿げていないか?

私たちは組織図を無くすことはできない。 それでは、あまりに無秩序すぎる。 ただ、組織図に縛られて身動きがとれないようにはしたくないのだ。

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