従来、扱える商品の数や抱えることのできる商品在庫の数には制限があった。 店舗や倉庫の大きさには制限があったからだ。 このような条件下では、効率的にビジネスを行うために、一定以下の販売数しか見込めない商品は取り扱いが難しかった。 上位の20%の商品が全体の80%の売り上げを占めるというパレートの法則に従うからだ。
インターネットのビジネスは、このモデルから開放された。 ビジネスを運営するコストが圧倒的に小さく、従来は採算がとれないと軽視されてきた、あまり売れない商品の販売を採算ベースに乗せることを可能にしたからだ。 この新たなビジネスモデルは、その商品売り上げグラフの形状から ロングテールと名づけられた。
ロングテールは、インターネットを語る上での重要な概念となった。
学校に目を向けてみよう。 国語、数学、英語、地理、世界史、日本史、生物、物理、化学、音楽、美術、などのカリキュラムが並ぶ。 概ねどこの学校も同じだ。 特別に素粒子に関心にある生徒、特別にコンピュータプログラミングに関心のある生徒、特別に考古学に関心のある生徒、特別に草花に関心のある生徒、特別に中国語に関心のある生徒、特別にシェークスピアに関心のある生徒、に対して授業が行われることはない。 彼らは少数派だからだ。少数の生徒のために授業ができるように先生を取り揃えておくことはできない。 これが学校の制限だ。
ロングテールの概念で考えるならば、インターネットを活用すればこの制限はかなり取り除けるのではないだろうか。 全ての学校に、全ての種類の先生を配置しておく必要はない。 インターネットは地理的な制約を取り除いてくれる。 シェークスピア文学を教える先生がどこかにいて、ネット上で授業を行えばいいのだ。 関心がある生徒が全国から集まる。 各学校には、そのような生徒は一人しかいないかもしれない。 でも、日本中にはそれなりの数の生徒がいるはずだ。
今、学校にはインターネット回線が引かれ、多数のパソコンが配置された。 多くの学校で行われていることは、グラフが綺麗に描けてよかった、ホームページが作れてよかった、の類で有効に活用されていない。
もし、生徒の個性を伸ばそう、多様性を尊重しよう、ということならば、学校には是非、生徒個々の関心のある分野に対して学校間の壁を越えた授業を行ってもらいたい。 インターネットがあればそれは可能だ。 POWER-LIVEのような製品を使えば、地理的に離れた教室をリアルタイムで結んで映像も声も共有した授業ができる。 教育もロングテール化できるのだ。