何かに挑戦しようとすれば、失敗のリスクから逃れることはできない。何の失敗もしない人は何もしなかった人である、というのは真理である。 失敗をすることが失敗なのではなくて、失敗から学ばないことが失敗なのだ、というのも真理だ。
しかし、一方で私たちの誰もが失敗は好きになれない。ひどく滅入るし、気分も落ち込む。もう失敗はこりごりとひどく慎重になるし、新たな挑戦への意欲が萎える人も多い。
ここに大きなジレンマがある。
何かに挑戦しようとすれば失敗は避けられないにもかかわらず、失敗は人のやる気を損なうのだ。
失敗にもめげずに挑戦し続けられる才能はある種の人たちだけに備わった特別な才能で、そういう能力は大人になってから獲得できるものではないのかもしれない。多くの人は自分の成功からは学べるが失敗からは学べないようだ。
だから、前向きに考えよう、挑戦し続けよう、などという自己啓発本、自己啓発セミナーが盛んであるが、そういうもので人間が変わったのも見たことがない。
どうしたらいいのか?
私たちができる最善の方法は他人の失敗から学ぶことかもしれない。自分の失敗体験から学ぶには心理的に克服しなければいけないところが大きいが、他人の失敗体験ならそんなことがない。
どうすれば失敗してしまうかがわかっていれば、それを避けて物事を進められるから失敗のリスクを下げられるだろう。
失敗にめげないで挑戦し続ける人間は貴重だ。 いろいろなことに挑戦して、失敗体験を他人に供給してくれたらいい。それを集めて知識として集積していくシステムがあれば、その他の多くの人も苦痛がなく失敗から学べるようになり、組織は賢くなるに違いない。