失敗体験を共有する


何かに挑戦しようとすれば、失敗のリスクから逃れることはできない。何の失敗もしない人は何もしなかった人である、というのは真理である。 失敗をすることが失敗なのではなくて、失敗から学ばないことが失敗なのだ、というのも真理だ。

しかし、一方で私たちの誰もが失敗は好きになれない。ひどく滅入るし、気分も落ち込む。もう失敗はこりごりとひどく慎重になるし、新たな挑戦への意欲が萎える人も多い。

ここに大きなジレンマがある。

何かに挑戦しようとすれば失敗は避けられないにもかかわらず、失敗は人のやる気を損なうのだ。

失敗にもめげずに挑戦し続けられる才能はある種の人たちだけに備わった特別な才能で、そういう能力は大人になってから獲得できるものではないのかもしれない。多くの人は自分の成功からは学べるが失敗からは学べないようだ。

だから、前向きに考えよう、挑戦し続けよう、などという自己啓発本、自己啓発セミナーが盛んであるが、そういうもので人間が変わったのも見たことがない。

どうしたらいいのか?

私たちができる最善の方法は他人の失敗から学ぶことかもしれない。自分の失敗体験から学ぶには心理的に克服しなければいけないところが大きいが、他人の失敗体験ならそんなことがない。

どうすれば失敗してしまうかがわかっていれば、それを避けて物事を進められるから失敗のリスクを下げられるだろう。

失敗にめげないで挑戦し続ける人間は貴重だ。 いろいろなことに挑戦して、失敗体験を他人に供給してくれたらいい。それを集めて知識として集積していくシステムがあれば、その他の多くの人も苦痛がなく失敗から学べるようになり、組織は賢くなるに違いない。

にほんブログ村 ベンチャーブログ ベンチャー社長へ

ベンチャー社長ブログランキング

コミュニティのインフレーション


本当かどうかは私に知る由もないが、宇宙の進化モデルにインフレーション理論というものがある。

その理論によれば、宇宙は誕生直後のごく初期段階(10-36秒後から10-34秒後までの間)に、急激に膨張したのだという。 どれくらい膨張したかというと、百桁膨張したという。百桁というのは、百億倍の百億倍だ。 これだけの膨張が、ほんの一瞬の時間の間になされたのだという。

これを借用すれば、インターネットはコミュニティにインフレーションを引き起こしている。

コミュニティとは、元来、同じ地域に居住して利害を共にし、政治・経済・風俗などにおいて深く結びついている社会のことだ(Wikipediaより)。

昔のことを考えれば、自動車も電話もないのだから、コミュニティというものは、ごく近所の人たちの何らかの集いであった。たくさんのコミュニティはない。 青年会とか婦人会とか、そんな類のものだ。

自動車や電話ができて、人間の活動範囲が広がった。 それにともなって、より多様なコミュニティが形成された。 全国的な組織も形成されたし、国際的な組織も形成された。 しかし、この段階までは実際に顔を合わせて作られるコミュニティだ。 人間の物理的な活動量には限界があるから、コミュニティの数はそれに制約される。

ここにインターネットが登場し、状況が一変した。 バーチャルな世界で、毎日、膨大な数のコミュニティが作られ始めたのだ。

過去そうであったように、社会や組織のあり方というものはコミュニケーション技術によって作られる。 インターネットが作り出すコミュニティが、私たちの社会や組織や働き方を間違いなく変えるのだ。

もはやコミュニティの成員は、同じ地域に住んでいるわけでもなく、同じビルで働いているわけでもなく、場合によっては顔見知りであるわけでもない。ちょっと昔だったら完全に他人なのだが、いまやコミュニティの仲間となっている。

コミュニティは人間の交流だから、そこには親近感が必要だし、人間的な深みのある関係が必要だ。 この領域は、これからインターネット上のコミュニティ技術が更に進化させていく領域だ。新しい何かが生まれるだろう。それは、インターネット上のコミュニティを従来とは違ったやり方で居心地の良い場所にする何かだ。

にほんブログ村 ベンチャーブログ ベンチャー社長へ

ベンチャー社長ブログランキング

「誰がどこにいて、どうしてる」の情報


右隣の△△△さんは今席をはずしている。 左隣の◇◇◇さんは電話中で忙しそうだ。 後ろを振り向くとOOOさんがいるので、これをどうしたらいいのか、〇〇〇さんに聞いてみよう。

自分たちはこういうように人に話しかけたりしている。

人がどこにいて、どうしているのか。 後ろを振り向いたり、横を向いたりすれば、いま誰がそこにいて、どん な状態なのかがわかる。 いま話したい人がそこにいるのかどうかがわかる。 いま話しかけていいものなのか、少し後の方がいいのかがわかる。

コミュニケーションを開始する前段階として、これらの情報は貴重だ。

実世界ではあたりまえのように取得できるが、インターネットの上だとこの情報が不足する。

今はスピードの時代だから、何かあるごとに会議を招集するわけにもいかない。 私たちは、意思決定、情報共有、知識創造をもっともっとインターネットの上で行うようになるに違いない。

コミュニケーションを開始する前の「誰がどこにいて、どうしてる」の情報がインターネットの上でもっと便利に扱えるようにすべきだ。

にほんブログ村 ベンチャーブログ ベンチャー社長へ

ベンチャー社長ブログランキング

メタ認知


「名選手、必ずしも名監督にあらず」 は、スポーツでよく語られる言葉だ。

名選手といわれる人たちは、概ね才能に恵まれているので、打ったり、投げたり、蹴ったり、をいとも簡単にやってしまう。 監督になったときに、選手がなぜそんなことができないのか、がわからないのだ。

さて、「何がわからないのかがわからない」という状態は教育とか学習とかの世界でよく起こることだ。

こういうのを「メタ認知」の問題というのだそうだ。

メタ認知とは、「自分は何がわかっているのかがわかっている」、あるいは「自分は何がわかっていないのかがわかっている」状態だ。

メタ認知ができていなければ、「自分は何を知らないのかを知らない」わけだから、「何を聞いていいのかもわからない」、「何を学習していいのかもわからない」 となってしまう。

こんな状態では、わからないところは何でも聞きなさい、足りないところは勉強しなさい、などと言っても何の役にも立たない。

ということで、まず 「メタ認知している」状態を作らないといけない、となる。

で、どうやるのだろう?

ギリシャの偉大なる哲学者ソクラテスは「優れた人間は自分は何も知らないということを知っているということにおいて優れているのだ」と語った。

ソクラテスは、相手に問いかけ、質問をし、矛盾を指摘することによって、相手自身が自ら自覚をし、真理を発見し、知識を創り出すことを助けた。そういう点において、ソクラテスは最も知恵のあるものとされた。 ソクラテスは、対話を通して知識を創造していったのだ。

学ぶということの原点に立ち返れば、ソクラテスのような「対話を通じてメタ認知させる」ことが出発点かもしれない。

にほんブログ村 ベンチャーブログ ベンチャー社長へ

ベンチャー社長ブログランキング

人に喜ばれるから人に教えてあげようと思う


人に何かを教えてあげて喜ばれるのはうれしいものだ。

人に喜ばれるから人に教えてあげようと思う。  これはあの人の役に立つ情報だと思うから教えてあげようと思う。

単純に言えば、人と人はそういうふうに知識を伝達したり共有したりしている。

強制されたりしてもなかなか知識共有は進まない。 とにかくデータベースに入力せよ、などと言われても気がすすまない。

この原理原則に則れば、知識共有を推進するためにやることは単純だ。

「あの情報のおかげ手助かった、ありがとう」
「これはすごい方法だ。 つぎから自分の仕事がはかどるよ、ありがとう」
「この情報のおかげで顧客に感謝されたよ、ありがとう」

このような交流が見えるシステム、人と人とが感情で結ばれるシステムにしなければいけない、ということだ。

にほんブログ村 ベンチャーブログ ベンチャー社長へ

ベンチャー社長ブログランキング