たまにビートルズを聴く。 「A day in the life」 は、常に新鮮だ。 名盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のラストを飾るこの曲は、ジョン・レノンの切ないメロディーから始まる。 途中、ポール・マッカトニーが曲調を大きく展開し、オーケストラ全員が各々の最高音に駆け上がり、最後にピアノの和音が長い余韻を残し終わる。 ビートルズらしさをふんだんに入れた名曲だ。 この曲を更に輝かせているのは、リンゴ・スターの一世一代のドラムである。 独特なフィルインが曲をいやがうえにも盛り上げる。
「A day in the life」レコーディング時のエピソードが好きだ。 ジョン・レノンは、ある曲をリンゴ・スターに聴かせ、こんな風にドラムを叩け、という。
リンゴ・スターは、しばらくそれを聴いた後、「ジョン、こんな風には叩けないよ。 これは、2人のドラマーが叩いている」という。 ジョン・レノンの返した言葉は、
「それがどうした」
「ドラムを2人で叩いていようが、3人で叩いていようが、それがどうした。 オレの欲しい音はこれなんだ。」と、ジョン・レノンは言ったわけだ。 それが、「A day in the life」でのリンゴ・スターの独創的なドラム演奏を生んだ。
人がいない、金がない、時間がない、やったことがない、やり方を知らない、・・・・・・・・・・・・・「それがどうした」
制約は創造性をはぐくむ。