「それがどうした」


たまにビートルズを聴く。 「A day in the life」 は、常に新鮮だ。  名盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のラストを飾るこの曲は、ジョン・レノンの切ないメロディーから始まる。 途中、ポール・マッカトニーが曲調を大きく展開し、オーケストラ全員が各々の最高音に駆け上がり、最後にピアノの和音が長い余韻を残し終わる。 ビートルズらしさをふんだんに入れた名曲だ。 この曲を更に輝かせているのは、リンゴ・スターの一世一代のドラムである。 独特なフィルインが曲をいやがうえにも盛り上げる。

「A day in the life」レコーディング時のエピソードが好きだ。 ジョン・レノンは、ある曲をリンゴ・スターに聴かせ、こんな風にドラムを叩け、という。
リンゴ・スターは、しばらくそれを聴いた後、「ジョン、こんな風には叩けないよ。 これは、2人のドラマーが叩いている」という。 ジョン・レノンの返した言葉は、

「それがどうした」

「ドラムを2人で叩いていようが、3人で叩いていようが、それがどうした。 オレの欲しい音はこれなんだ。」と、ジョン・レノンは言ったわけだ。 それが、「A day in the life」でのリンゴ・スターの独創的なドラム演奏を生んだ。

人がいない、金がない、時間がない、やったことがない、やり方を知らない、・・・・・・・・・・・・・「それがどうした」

制約は創造性をはぐくむ。

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スティーブ・バルマーという人


ある本を読んでいて、ふとマイクロソフトのスティーブ・バルマーを思い出した。

1997年9月24日、NECが、独自アーキテクチャーのパソコンPC-9800路線から、PC/AT互換機路線への転換を発表した。 場所は、WORLD PC EXPO ’97 が行われた幕張のホテル。 発表会のゲストスピーカーとして、Microsoftからスティーブ・バルマー(当時Microsoft副社長、現CEO)、Intelからマイク・エイマー(当時Intel副社長)が参加した。

当時インテルで働いていた私は、マイク・エイマーを連れて会場に入った。 この発表会では、NECの金子社長(当時)、ビデオでビル・ゲイツ、などもスピーチをしたのだが、何といってもびっくりしたのがスティーブ・バルマーのスピーチである。 強力なパワーの塊のような男だった。  圧倒的なエネルギーを持っていた。 マイクロソフトという巨大で強力な組織を率いる人間とはこういう人なのか、と思ったものだ。

何年か経ち、私はさらに驚いた。 あのときのスティーブ・バルマーはエンジン全開ではなかったのだ。 日本人の聴衆の前で多少セーブしていたようだ。スティーブ・バルマーの真の雄姿をごらんあれ。
踊るスティーブ

吼えるスティーブ

何かを成し遂げるにはパワーが必要だ。

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「くそ野郎」


2月23日、イー・モバイルが携帯電話サービスに新規参入するニュースに絡んで、千本会長の記事が新聞に掲載されていた。

千本氏の挑戦志向は、20代のころの米国留学の経験が影響しているという。 学生寮で同室の白人青年に仕事を尋ねられ、「日本で唯一最大の電話会社で、独占企業の電電公社(現NTT)で働いている」と自慢げに答えたところ、青年の返した言葉は

「くそ野郎」

しばらくたって千本氏は気づいたという。
「優秀な卒業生ほど名前も知らない企業に入り、自分の人生を切り開く。 リスクをとって大企業と競争する人間こそ尊敬されるんだ。」

挑戦することは、それ自体で美しい。

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SNS


パソコンが普及しはじめたのは、1980年代の中ごろからである。
それまで、どうやって顧客への見積書を作成していたのだろうか?
どうやって顧客への提案書を作成していたのだろうか?

電子メールが一般に利用されるようになったのは、1990年代に入ってからである。
それまでどうやって会議の議事録をみんなに伝えていたのだろうか?
どうやって顧客にデータを送っていたのだろうか?

一般の人が携帯電話を使うようになったのは、1990年代の後半以降である。
それまでどうやって待ち合わせ場所が分からなかったときに連絡していたのだろうか?
どうやって営業担当者は、顧客からの急な依頼に対応していたのだろうか?

数年後、私たちは、SNSなしにどうやって社内の知識を共有していたのだろう、と思うはずだ。

ロゴスウェア社内でもSNSを導入してみた。 ここまでの経過はすこぶる順調である。

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「目標+主体性」の組織


昔、「太陽にほえろ!」というテレビドラマがあった。
ボス(石原裕次郎)の机の電話がなる。  「3丁目の消費者金融で殺しだ。 ホシは30代の男性。 車で逃走中」 と言うと、3秒後には、七曲署捜査一係の部屋から、長さん、山さん、ゴリ、殿下、ジーパン、が飛び出していくという早業だ。

もしこれが「指示命令+統制」型の組織だったらこうはいかない。  細かい打合せから始まる。 誰が何をするか、細部を詰め、一人一人に細かい指示を出すところから始まる。 時間がかかる。 間違いなく、犯人は逃走に成功する。

七曲署は、プロの集団だった。 一人一人が、自分の果たすべき役割を認識していた。 目的や課題に対して、即座に動くことができた。

ロゴスウェアで実現したいのは、「目標+主体性」型の組織だ。 自分は何をすべきかを一人一人が理解し、行動できる組織だ。 一人一人のプロ化が要求される。 主体性、自律、自己責任が要求される。

ほとんどの日本人が学校で学ぶことをしなかった領域だ。 以前の職場で経験してこなかった価値観だ。 従って、このような組織を完成させるにはたくさんの時間と甚大な努力を要する。 また、これを要求するとき人にとって大きな戸惑いがあることを理解している。 しかし、次の二つの理由により、ロゴスウェアはこれを推進し、そして完成させたいのだ。

1. 「指示命令+統制」型は、人の思考を停止することを要求する。 しかし、 「目標+主体性」型は、人には誰でも脳みそがあり考えることができる、ことを前提としている。 ずっと人間的である。

2. 仮にどんなに正確に情報伝達ができたとしても、 仮に混乱がなくどんなに心地よくても、時間に間に合わなければ意味がない。 「指示命令+管理」型では市場の要求するスピードについていけず、「目標+主体性」型のみが生き残る道である。

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