「山のてっぺんからダライ・ラマがうたっているように」


ジェフ・エメリックという人がいる。 レコーディングスタジオのエンジニアである。 ビートルズの数々のアルバムでの仕事で有名である。 

ジェフ・エメリック自身が書いた「ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実」 という本の中で、ビートルズの実験的で斬新なサウンドはどのように創られていったかが書かれている。

面白い発見をした。

ビートルズのサウンドの斬新なアイデアは、ポール・マッカートニーの天才的な音楽的才能によるだけでなく、ジョン・レノンの無茶な要求によるところも多いようだ。

例えば、「Tomorrow never knows」という曲では、「俺の声を山のてっぺんからダライ・ラマがうたっているような感じにしろ」と注文をつける。

それって何? という感じだが、ジョン・レノンという人は 「どうやるのか知らないけどどうにかしろ。 お前らはそのためにいるんだろ」 というタイプである。

ジェフ・エメリックは、このときは、ジョン・レノンのボーカルの声をハモンドオルガン用のレズリー・スピーカー(ドップラー効果によるうねりを作り出すための回転するスピーカー)に突っ込んで、まさに「山のてっぺんからダライ・ラマがうたっている」サウンドを創り上げた。

ジョン・レノンの要求というものはこんな感じだ。
「ベッドの中でまだ夢の中にいて、上流に漂っていく感覚」
「小さな音が次第に大きくなり、ついには何もかも飲み込んでしまう感じ」
「自分の声を月から聴こえてくるようにしたい」

要求は抽象的で、具体的にはどういうことなのかよくわからない。

そこから創造という活動が始まるから面白い。

録音したテープを逆回転再生させたり、安物のマイクをアンプに過入力させて声をわざと歪ませたり、録音したテープを切り刻んで適当につなぎ合わせてみたり、と常識はずれのことをいろいろやっている。

「要求が抽象的でよくわからない、もっと具体的に説明してくれ」という意見はもっともなのだが、創造性というものはそういう所じゃないところから生まれたりするから面白い。

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いつまでも尖った人


エリック・クラプトンは、来年2009年2月12日から2月27日まで来日コンサートを開く。

なんと同時期の2009年2月6日から2月19日まで、ジェフ・ベックも来日コンサートを開いている。

今、どちらか一方を観るとしたら、ジェフ・ベックの方が100倍楽しめるはずだ。

ジェフ・ベックのステージを生で観たことがないが、数年前にテレビ(たぶん、NHK BSだったと思う)で見た。 ビックリした。

ほとんどの曲でピックを使わず、指で弾いていたのだ。 昔、耳にタコができるほど聞いた「ブロウ・バイ・ブロウ」「ワイアード」からの曲もたくさんやっていたがとても新鮮だった。 カメラが手元をクローズアップしても、どうやって弾いているのかよくわからなかった。 マジックだ。

エリック・クラプトンは渋い名人芸という感じになっているが、ジェフ・ベックは64歳になるにもかかわらず、いまだに刺激的に変化し続けている。 こういう尖った生き方には敬服するしかない。

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モーセのように


キリスト教文化圏の人たちにとって、リーダーのイメージとはモーセであるという。

奴隷になってしまったイスラエルの民をエジプトから約束の地カナンに導くリーダーとして、なぜかはわからないが、神はモーセを選んだ。

モーセ自身、私は雄弁でもなければカリスマでもなく、とてもそのような大役は務まりません、といって固辞するのだが、神にそのような理由は通用しない。

というわけで、モーセはこの仕事にとりかかるのだが、それは大変な困難な仕事であった。 40年間をかけて、イスラエルの民のために、そして神から与えられた使命を果たすためにモーセは働く。 

最もつらかったであろうことは、多くのイスラエルの民の不平・不満であっただろう。 奴隷から開放される喜びなどを感じていたのは最初のほんの数日だけで、その後は、不平・不満の連続だ。 「余計なことをしてくれた」、「こんなことなら奴隷のままの方がよかった」などという。

人間はわがままなものである。楽をしたい、安定したい、贅沢をしたい、あれも欲しい、これも欲しい。 

それは分かるが、それでもやらなければならないことがある。 苦難を伴ってもやるべきことがある。 それをリーダーは実行しなければならない。 人に好まれることばかりではないが、やらなければならないことがある。

そういうモーセの姿が旧約聖書の中に出エジプト記として描かれている。 キリスト教の人たちは(もちろんユダヤ教の人たちも)、この物語を、たぶん日本人が浦島太郎の物語を何度も聞くくらいに聞いている。 それは幸いなことのように思える。 リーダーとなる人も、リーダーに従う人も、共通のイメージを持てるのだから。日本人の中にリーダーの共通のイメージがないのは不幸なことだ。 

リーダーシップは仕事である。 カリスマ性のような天賦の才能が必要というわけではない。 リーダーとは為すべきことを為す人をいう。  為すべきこととは、使命やビジョンを達成することである。 万人に愛されることを望んではならない。

聖書そのものを読むのは少々苦痛だから(言葉が文語体になっていたりするので)、パール・バック著「聖書物語 旧約篇」などを読むと良い。 リーダーシップの細かいテクニックどうのこうのの前に、知っておくべき大事なことを教えてくれるはずだ。

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「二人の目標が変わってしまった。」


バドミントン女子の小椋久美子選手、潮田玲子選手は、9年間続けたペアを解消すると発表した。

「二人の目標が変わってしまった」という。 

「4年後のロンドン・オリンピックを再び目指す」と宣言する小椋選手と「先のことはわからない。一年づつやっていって、その先にロンドンが見えたら目標となる」という潮田選手。

目標を達成しようと強く願うならば、小椋式でいくしかない。 目標をはっきり掲げてそこから逆算して今やるべきことを決めるしかない。 その厳しい道を再び歩もうという人間とそうでない人間が共に歩むことは難しい。

ベンチャーの道もそういうものである。

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「本気で最強のチームを作ろうとしているとは思えない」


野球の第二回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の日本代表監督は、最終的に、読売ジャイアンツの原監督が就任することで決着がついた。

決定するまで日本プロ野球機構上層部の見苦しいほどのドタバタがあった。

流れを一気に決着の方向にもっていったのが、一選手であるイチローの言葉

「最強のチームをつくると言う一方で、現役監督から選ぶのは難しいでは、本気で最強のチームをつくろうとしているとは思えない」

まったくその通りだ。

で、ロゴスウェアの価値観で言えば、

「とびっきりすごいものを作ろうという一方で、それは出来ない、これは難しいでは、本気ですごいものを作ろうとしているとは思えない」

となる。

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