無常


仏教の重要な思想のひとつに「無常」がある。 あらゆる現象はとどまることなく常に変化し、そして消滅する、と説く。

仏教の開祖である釈迦は、紀元前463年に生まれたといわれている。今から2500年も前の昔だ。

無常をあえて教えるということは、2500年前の昔から人間は変化が嫌いだったのだろう。 人間は今も変化が嫌いだ。 技術はずいぶんと進化を遂げたが人間の心は2500年前から何も変わっていない。

今日の朝日新聞には、社会保険庁の労働組合と日教組のことが記事にある。

記事によれば、社会保険庁の年金記録問題の原因に関して、労働組合の存在が焦点の一つになってきているという。 年金手帳の統一、年金相談コーナーの設置、年金記録のオンライン化、・・・・・・このような取り組みに対して、社会保険庁の労働組合はことごとく反対してきたのだという。彼らが訴えてきた合理化反対、コンピュータ化反対、オンライン化反対の運動が今日のずさんな社会保険庁の年金記録の一因ではないかと論じている。

同じく、日教組に関する記事では、勤務評定への反対、主任制導入への反対、学力調査への反対、などあらゆる教育改革に反対してきた歴史が記されている。

いずれも「私は変わらない」人たちの典型だ。

あなたが守り通せるものなど何もない、あらゆるものは変化しつづけるのだ、と理解しなければ救われない。

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会社と社員のパートナーシップ


昔、学生の頃、経済学の授業で、「搾取」について講義を受けたことがる。マルクス経済学というものだ。資本制のもとでは資本家は労働者から搾取している、というのだ。

この考えによると、労働者は、一定期間(例えば、8時間とか)の労働力というものを売り、資本家はそれを買うのだという。資本家は、労働力を買ったのだから、その使用権を得てそれをどのようにでも使うことができる、という。資本家は、労働者への賃金支払に必要な労働力(例えば、これを5時間としよう)を超えた分(つまり、残り3時間分)を搾取するのだという。

共産主義やマルクス主義は、こんな考えで資本主義を批判するらしい。まったく馬鹿げている。

少なくても自分が会社員であったときにもそんな風に考えたことはなく、経営者になった今でもそんな風に考えることはない。

大体において、労働力を売買するという考え方に違和感がある。資本家と労働者階級をはっきり分けているのも気に入らない。そこからイメージされるのは、明治時代や昭和初期の頃の工場で、あくどい資本家に奴隷のようにこき使われる工場労働者たちだ。

あまりに古臭い考えなので、今や共産党でさえ「搾取」などという言葉は使わなくなったと思っていたが、どうもそうでもないようだ。労働法改革に対する労働組合などの反応は、ほとんど大昔の共産主義的考えそのままだ。

今、企業経営は会社と社員のパートナーシップに重点を置いている。お互いが協力して共通のミッションを達成するために共に働く関係だ。そして、会社は全てのステークホルダー(顧客、社員、株主)を幸福にするために存在するのだ。少なくても、ロゴスウェアではそうしたい。

私たちは未来に向かって進みたいのだ。進化した組織、進化した働き方が必要だ。大昔に戻るなんてごめんだ。

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戦略理論というもの


ソニー プレイステーションの生みの親、久夛良木健氏が6月19日をもってSCEの取締役から退任した。事実上、PS3の販売不振の責任をとっての辞任となる。

ソニーは、ここ数年、大きな二つの失敗を犯している。ウォークマンがアップル iPODに敗れたこと、PS3が 任天堂Wii に敗れたことだ。

この二つの事例は、おそらくこれから何年、何十年にわたり、経営戦略理論やイノベーション戦略理論の世界で繰り返し引き合いにだされるのであろう。

クレイトン・クリステンセンが提唱する破壊的イノベーション理論に照らし合わせれば、ソニーは、MD、メモリースティック、音楽事業、などの既存ビジネスを守ろうとするがために、ウォークマンは破壊的なイノベーション iPOD の前に敗れ去った、となる。ソニーはiPODのような製品・サービスを開発する全ての要素(小型薄型のモノを作る技術、インターネットビジネスのノウハウ、音楽コンテンツ、・・・・)を持っていて、それらは間違いなくアップルよりも格段に優れていたのだから、そのショックは大きかったのかもしれない。

PS3は3次元グラフィックスの性能向上にこだわった。製品の性能競争により、性能は顧客の満足度をいずれ大きく超える。そのときに、新市場を創造する破壊的イノベーションに敗れ去る、という理論も多くの人が理屈としては知っているものだ。Wii がPS3を置き去りにしてゲームの世界に新市場を開拓していく様は、まさにこの理論の通りだ。

それならば、なぜこれらのことは事前に警告されないのか?

破壊的イノベーション理論が書かれたクレイトン・クリステンセンの書物は世界的なベストセラーで、経営に携わる者、マーケティングに携わる者、イノベーションに携わる者にとってはあまりにも有名な理論だ。当然、優秀なソニーのスタッフたちがそれについて無知であることなど絶対にない。

既に起こってしまったことを振り返って見れば、いろいろな理論に照らして説明するのは簡単だ。ただ、理論を事前に活用し、未来をコントロールするのは極めて困難なのだ。

たぶん、戦略理論とはその程度のものだ。戦略理論は大変面白く、自分もこれまでに多くの書物を読んだし、たぶんこれからも読む。戦略理論がまったく役に立たないということは絶対にないが、理論を振りかざして経営を語る人には非常に違和感がある。

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掛け算の世界


経営戦略のこと、資金調達のこと、利益のこと、事業計画のこと、組織のこと、マーケティングのこと、テクノロジーのこと、イノベーションのこと、人材育成のこと、ミッションやビジョンのこと、人事のこと、営業のこと、製品開発のこと、プロジェクト管理のこと、品質管理のこと、リスク管理のこと、知的財産のこと、業務提携のこと、コンプライアンスのこと、・・・・・・・・・

経営者という職業に携わるものが関わる領域はあまりにも多い。

企業経営にとって何が大切かと問われれば、全てが大切だ。疎かにしていいものなど何もない。

よく言われるように、企業経営とは掛け算の世界だ。何かがゼロになれば、他の点数がどうであれ、掛け算としての結果はゼロとなる。

他の全てがうまくいっているのに、品質管理の問題でつまづくことは十分にありえる(不二家のように)。コンプライアンスでつまずくことも十分ありえる(コムスンやNOVAのように)。

これらを一人の人間が全て実行することは不可能なので、経営チームが必要になってくる。どれだけ早い段階で、どれだけ強力な経営チームを構築できるかはベンチャー企業の安定成長にとって最重要課題の一つだ。

ロゴスウェアとしても、抜かりの無いように

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恐怖心


「Qさま」というテレビ番組があり、その中にビビリ橋というシリーズがある。海上から高さ10mのところに幅45cmの細長い橋が作られる。その橋を芸人に渡らせ、そのビビリ具合を笑おうという趣向だ。

地上に置かれた幅45cmの橋ならば誰も怖がることはないが、それが高さ10mのところにあると足がすくんで動けない。

恐怖心というものは人間の行動に大きな影響を与える。地上にある45cmの橋と10mの高さにある45cmの橋。同じ橋でも、人間の行動はまったく違ったものになるのだ。

時間を浪費する人たちを研究した心理学者によれば、時間の浪費の問題は、いわゆるタイム・マネジメントとはまったく無関係であるという。時間の浪費は、往々にして心理的な葛藤が原因であり、時間管理のハウツウ本によるテクニックなどでは決して直せるものではないという。

時間を浪費する人たちが抱える原因は、傷つきやすい自尊心であったり、欠点を指摘されたり評価されたりすることへの恐怖心だったりするのだという。

恐怖心のせいで本来ならできることもできなくなるのはもったいない。人は恐怖心を克服する努力をしなければならない。一方、会社の中においては、人が抱える恐怖心を理解し、それを取り除く努力をしなければならない。

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